旭山動物園内の“循環型農園”「つながる輪『いのち』」で三日、農園開きがあり、田植えや野菜の苗植えが行われた。

 同農園は二〇一〇年、北海道コカ・コーラボトリング(本社札幌・佐々木康行社長)と旭山動物園が中心となり、企業や学校などの協力団体が協働して動物園内の休憩スペース「やすらぎの森」横に開墾。地域の高校生や市民らが、コメや野菜を育てて収穫物を動物の餌にし、それを食べた動物の排泄物から作った堆肥でまた野菜を作るという循環を学ぶ。過去にここで農作業を体験し、旭山動物園の職員になった元生徒もいるという。

 作業開始前、坂東元園長は、「私たちは地球の大地から恵みをいただいている。人間のように自分の陣地ばかり増やすのは、自然界では見られないこと。これからは人だけが一方的に使い続ける時代ではなくなる。共存ということを考える時、たとえば虫が百匹ついたら困るが、十匹なら我慢できるかもしれない。ここでの学びを原体験にして、環境に負荷をかけない一次産業のあり方を考えてほしい」と話した。

 当日は旭川実業高から五人、旭川農業高から二十三人の生徒が参加。二十平方㍍ほどの畑に、ピーマン、トマト、長ネギ、ジャガイモ、キャベツなど十種類以上の苗を、また十平方㍍ほどの田んぼには稲の苗を植えた。

 生徒が長ネギを植える溝を掘り起こしていると、指導担当者が「もっとこのくらい深くていいよ」と実際にやってみせる場面も。時おり小雨の降るあいにくの天気だったが、生徒たちは終始楽しそうに作業をしていた。

 これから収穫までの間、生徒たちは作物の世話をしにやってくる。北海道コカ・コーラリテール&ベンディングの佐藤幸一・旭川営業課長は「例年一週間に一回くらいのペースで来てますね」と話す。生徒たちの作業を見守る周囲の大人たちのあたたかい視線も印象的だった。(岡本成史)