童謡詩人金子みすゞの生誕百二十年を記念する、特別対談「金子みすゞを語る」が三日、大雪クリスタルホール(神楽三ノ七)で行われた。創設二十二年を迎えた旭川みすゞ会(村田和子代表)の主催。

 対談は作家でジャーナリストのデイビット・ジェイコブソンと詩人で作家のアーサー・ビナードの二人が、「世界の人々の心を打つ、みすゞの詩の普遍性」という視点で話を展開した。みすゞの詩は現在、世界十二カ国で翻訳本が出されている。

 ジェイコブソンは、みすゞの詩「こだまでしょうか」を、二〇一七年に英語圏に向け、米国の出版社から『Are you an Echo? 』を出版。欧米の人々にみすゞの詩を広く紹介した。

 ビナードは、日本に在住。小熊秀雄賞の選考委員で〇八年から毎年旭川を訪れている。日本人より、巧みな日本語を話す。〇一年、第一詩集『釣り上げては』(思潮社)は中原中也賞を受賞。日本語の著書は多数。

 ビナードは、宮沢賢治の詩とみすゞの詩について、「二人の感覚に共通するものがある。センスは同じ」と評した。またみすゞの詩が、ノーベル賞を受賞したチリの国民的詩人パブロ・ネルーダと米国の女性詩人のサラ・ティーズデールの詩との共通点を英語と日本語で朗読し、具体的に例を挙げて示した。

 ジェイコブソンは、彼が翻訳した『Are you an Echo? 』を読んだグルジア人が、母国語のジョージア語に翻訳する話が進んでいるとして、「日本語で書かれた詩を理解するには難しい。英語に翻訳された詩に感動し、小さな国の人々が母国語とするジョージア語の翻訳本が出る。これがどんどん広がっていくだろう。みすゞの詩の普遍性を示すもの」と語った。

 二人の二時間半にわたる対談を約百人の参加者が聞き入った。(佐久間和久)