東川町の複合交流施設せんとぴゅあⅡ(北町一丁目)で、大雪山アーカイブス企画展示「田淵行雄と大雪の蝶」が七月九日(日)まで開かれている。

 田淵氏(一九〇五~一九八九)は日本を代表する山岳写真家の一人であり、高山蝶などの昆虫生態や民俗学における雪形研究などで、大きな功績を残した。ウスバキチョウやダイセツタカネヒカゲなど、大雪山に生息する蝶の生態を七年かけて現地調査をし、『大雪の蝶』(朝日新聞社刊)を刊行した。

 この展示では、大雪山での調査行にまつわるエピソードや田淵氏の代表作とされる作品など二十冊を展示している。

 大雪山アーカイブスの南貴子さん(52)は「大雪山の蝶の調査は、田淵さんが六十六歳の時から始め、七年間で延べ二十回に及ぶ生態調査をしてまとめたものです。著書の『大雪の蝶』は町の文化財に指定されています。ぜひ一度足をお運びください」とPRする。

 また旭岳ビジターセンター(旭岳温泉)では出張展示「旭岳姿見の池 命名一一一年」が八月三十一日(木)まで行われている。

 

清水さん亡き後南さん1人の初仕事

 大雪山アーカイブスは二〇一八年から始めた企画展示を、せんとぴゅあⅡで年八回、旭岳ビジターセンターで年四、計十二回開催している。

 これまで清水敏一さんと南さんの二人が、この任に当たってきた。若いころから登山に取り組んできた清水さんは、全国の著名な山々を踏破。その後、登山の研究家としても多くの著書を残した。清水さんが享年九十歳で、今年三月に逝去したことから、今回の展示は南さんが初めて一人で取り組んだ。

 南さんは「三月までの企画は、昨年十一月までに清水さんと二人で立案し、事務手続も済んでいますので、それに沿って開催していきます。展示資料はこれからの作業になります」と話す。

 アーカイブスが所管し、図書館が所蔵する、大雪山を中心とした全国の山々に関する本(資料)は約六千点弱。これらほとんどの登録作業に関わった、南さんは「内容までは覚えていませんが、だいたいどんな本があるかなどは、見当がつきますから、時間をかければ何とか…」と、これからの展示に意気込みを示す。

 田淵氏の展示が終了した後、七月十一日(火)から、清水さんに関する展示を行い、八月五日(土)には、清水さんと親しかった三人の講演会を予定している。(佐久間和久)