日本最古のアイヌ文化資料館「川村カ子(ネ)トアイヌ記念館」(北門町十一)の新館が七月十五日、グランドオープンした。

 同館は一九一六年、カ子トさんの父・川村イタキシロマさんが、アイヌの歴史を正しく知ってもらおうと自宅近くに開設した私設資料館が前身。測量技師として全国で活躍したカ子トさんが記念館を建て、カ子トさんの死後、息子の兼一さんが館長を引き継いだ。

 二〇二一年二月に兼一さんが死去して以降、館長不在の状態が続いていたが、今回の新館オープンを機に、兼一さんの息子・晴道(はると)さん(24)が四代目館長に就任した。

 同日開かれた記念式典では、晴道さんが「先代の後を継ぐために努めてきた中で、人との縁を強く感じました。アイヌの世界では人にはそれぞれ“憑神様”がいて、人と人とを導いてくれる、と言われています。今回、無事に新館のオープンを迎えられたのも、皆様との縁があったからこそ。これからも皆様に支えていただきながら、伝統を受け継ぎ守っていきたい」と挨拶した。

 新館は二階建てで、館内にはアイヌ民族が実際に使っていた生活用具や衣装など約五百点を展示。吹き抜け部分には、高さ六・六㍍のトーテムポールが設置されているほか、二階の一角には、伝統工芸品の「木彫り熊」百八十体ほどが並んでいる。トーテムポールは、かつて記念館に設置されていた旭川出身の彫刻家・砂澤ビッキ制作のものを復元した。

 副館長の川村久恵さんは「アイヌ個人が運営する施設だからこそ、アイヌ自身が今、何を考え、何を次世代に伝えていかなければならないのかという視点で、よりアイヌの生活に密着した『リアリティ』が感じられる展示を行っています。アイヌは過去のものではなく、今でも生き続けているという証を見てもらえたら」と語る。

 また同館では、アイヌの伝統楽器「ムックル」の製作やアイヌ料理などが体験できるワークショップも行っている(要問い合わせ)。
 開館時間は午前九時~午後五時。五~十一月は無休、十二~四月は火曜日定休。入館料は、大人八百円、大学生六百円、中高生五百円、小学生三百円。

 問い合わせは同館(TEL >51―2461)へ。(東寛樹)