現代詩の全国公募賞、小熊秀雄賞を運営する市民実行委員会(橋爪弘敬会長)が十四日、「秋の詩(うた) 講演と朗読~おしゃべりな★焼かれた魚たち」をまちなかぶんか小屋(七条買物公園)で開いた。

 コロナ禍で活動が制限され、三年ぶりの開催となった講演と朗読の集いには、会場が満杯となる約三十人が集まった。

 第一部の講演は、漫画家の日野あかねさんが、「私が小熊秀雄にハマった理由(わけ)」と題して、小熊との“出会い”から、漫画『詩人 小熊秀雄物語』を描き始めるまでをユーモアを交えて語った。

 第二部は、元NHK旭川放送局長で郷土史家の那須敦志さんが、地元劇団「河」を主宰した故星野由美子さんが生前、小熊作品を朗読する動画映像(二〇一九年・二〇二〇年)を紹介。

 続いて市民実行委の面々が小熊と同時代に活躍した、詩誌『円筒帽』の詩人らになりきって朗読を披露した。斉藤知子さんが歌人・斉藤史(ふみ、一九〇九―二〇〇二年)の短歌を五首、木暮純さんが今野大力(一九〇四―一九三五年)の詩「一疋の昆虫」を、柴田望さんが鈴木政輝(一九〇五―一九八二年)の詩「裏町の鬼才達」などを、そしてロシア生まれの新打楽器・ラヴァスト奏者のSAYОさんの演奏をバックに木暮純さんが小熊秀雄(一九〇一―一九四〇年)になりきって小熊の詩「人魚」を朗読した。

 最後は、SAYОさんがオリジナル曲を演奏し、その幻想的な音色に客席から大きな拍手が沸き起こった。

 市民実行委の氏家正実運営委員長は、「小熊秀雄市民実行委員会がコロナによる三年間の休眠状態から目覚めたような気がしました。小熊の精神がちゃんと流れていたし、若い運営委員たちがバラエティに富んだ、いい企画を実行してくれました」と喜んだ。 (工藤稔)