「働く吃音症の若者たち」をテーマにした集いが十月二十二日、東川町せんとぴゅあⅡ(北町一)多目的室で行われた。東川町の主催。旭川市立大学短期大学部幼児教育学科の熊田ゼミナールが後援し、熊田広樹准教授とゼミ生たちがサポートした。

 十月二十二日の「国際吃音啓発の日」に合わせた企画。働く吃音症の三人の若者が、小さい頃から現在までの体験を語った。

 阿部勇司さん(26)は福岡県宗像市生まれ。現在、東川町おこし協力隊。こども発達支援センターに保育士として勤務。独立リーグ野球選手としても活躍している。

 「吃音だから相手に伝わらないのではなく、伝え方だと思っている。言葉に詰まるのは仕方ないこと。大学二年の時、吃音症当事者の心理学の先生と出会って、考え方が変わった」。

 それでも、初めての人からの電話には言葉に詰まる場合が多いという。

 黒沢伸幸さん(33)は旭川市生まれ。市内を中心に豆腐を配達している。

 「学校では国語の先生に音読を当てないよう頼んだこともあった。吃音を知られるのが嫌だったが、社会に出て吃音であることを周りに話したら、気持ちが楽になった」。

 「なるべく、しゃべらない職業を」と職を転々としたが、「言葉にする前に、身体を動かすことを意識した」という。

 吉野翔志郎さん(21)は雨竜郡妹背牛町生まれ。小樽商科大学二年。独立リーグ審判員。

 「独立リーグで球審をしていた時、『あっ、守備妨害だ』と思った時、言葉につっかからないで、ジャッジできた。吃音を超えるモノ、上にある何かがあると思っている」。

 ホームセンターでアルバイトをしているが、インカム(トランシーバー)で話す時、自分の言っていることが、なかなか相手に伝わらないのが悩みという。

 言語聴覚士でもある熊田准教授は、「言葉は生きていく上で必要だが、吃音はその人の一部であり、全てではない。これからも年一回、国際吃音啓発の日に合わせた集いを開いていきたい」と語った。

 この集いには、吃音当事者や当事者の親、保健師、小学校・幼稚園教諭ら約三十人が参加した。(佐久間和久)