北海道麻(あさ)栽培研究会(川江修代表)の設立総会が六日、旭川市東旭川町米原の農家で行われた。
 同研究会は産業用大麻(ヘンプ)の栽培者になることを目指す人の入会を原則としており、総会には会員九人が参加。そのうち現在、四人が農業に従事している。

 産業用大麻は幻覚や快楽などを引き起こす薬理成分をほとんど含まず、衣類や紙製品、建材などの原料として欧州を中心に海外で広く栽培されている
 日本では、大麻の栽培には都道府県知事の免許が必要だが、現在、北海道で免許を取得している人(法人)はなく、道内では今後も免許が交付される可能性は非常に低いと見られている。

 総会では、政府が大麻取締法の改正案を十月下旬、閣議決定し、今国会での改正を目指していることから、法改正後の免許取得を目指して情報収集と勉強を続けていくことを確認した。

 公務員の川江代表(44)は冒頭、「本会の目的は産業用大麻の栽培を通じて、北海道で一度失われてしまった麻の伝統文化の再興継承と農業の収益改善です。道からの免許交付が始まった時に、すぐに免許取得ができるように、正しい免許の申請方法について学びましょう」と呼びかけ、「法令を遵守し、嗜好用大麻に関する一切の反社会行為の絶対禁止」など三つの厳守すべき事項を挙げた。

 総会に出席した、米作とトマトなどのハウス栽培をしている農家の馬場利昭さん(57)と美咲恵さん(56)夫婦は、産業用大麻について「農薬を使わずに栽培でき、土壌改良作物としても有効で、環境に良く、ヘンプクリートなど建材の原料となるなど、北海道の農業作物として期待でき、大変関心がある」と話す。

 新規農業者の國枝正彦さん(46)は「いろんな用途に使え、化石燃料を使わないクリーンなエネルギーの活用を目指すGXにも適合し、気象変動などに対しても大きな効果がある」と、積極的に取り組みたい考えを示す。

 同研究会には、産業用大麻の栽培を目指す人なら誰でも入会できるが、二人以上の役員と面談し、役員会の了承を得なければならない。当面の間、会費は取らず活動費は個人負担にするという。

 川江代表は「具体的な計画はないが、栽培免許取得に関する勉強会のほか、産業用大麻の有効性を市民に知ってもらうため、対外的な活動にも取り組んでいきたい」と意欲を示した。(佐久間和久)