口承で語り継がれたアイヌ民族のユーカラ(叙事詩)を初めて文字にして残した、知里幸恵の生涯をモデルにした映画『カムイのうた』の道内での先行上映が二十三日(木・祝)から始まります。

 同作品は、旭川にも在住した実在の人物、知里幸恵をモデルとした北里テルの十九年の生涯を描いた物語。学業優秀なアイヌの少女・北里テルは、理不尽な差別といじめにあいながらも、アイヌ語研究の第一人者である兼田教授(言語学者の金田一京助がモデル)と出会ったことで才能を見出され、教授の勧めでユーカラを文字にして残すことに着手します。その翻訳の出来栄えの素晴らしさを評価されたテルは、やがて本格的な活動のために教授のいる東京へと旅立ちますが、病気のために再び北海道の地を踏むことはなく…。大きな功績を残した一人の女性の生涯を通して、アイヌ民族の壮絶な史実を赤裸々に描いた感動作です。

 監督は『ぼくらの七日間戦争』などで知られる菅原浩志さん。映画化のきっかけは、川村カ子トアイヌ記念館(北門町十一)の館長だった故・川村兼一さん出演のドキュメンタリー映像を制作し、政府が進めた同化政策の実態を聞いたことだったといいます。

 同作品の制作には東川町が企画協力し、作品内に出てくるタマサイと呼ばれるガラス製の首飾りは、地元の人たちのボランティアによって作られました。

 旭川市内では、イオンシネマ旭川駅前とシネプレックス旭川で上映。公開初日の二十三日には、出演者らによる舞台挨拶もあります。登壇予定者は、北里テル役の吉田美月喜さん、兼田教授役の加藤雅也さん、監督の菅原浩志さん。舞台挨拶の開始時間は、イオンシネマ旭川駅前が午前九時三十分から十一時五十分までの上映終了後、シネプレックス旭川が午前十時四十五分から午後一時十分の上映終了後からで、それぞれ三十分間です。

 作品の詳細は映画公式ホームページ=右のQRコード=で。