男山(山崎輿吉社長、永山二ノ七)の酒造り資料館入り口で、十一月二十九日、酒林(杉玉)の付け替えが行われた。

 酒林(さかばやし)は杉の葉を束ねて丸く刈り上げたもので、毎年新酒ができるとその合図として酒蔵の軒先に吊るされる。醸造の神様を祭る奈良の大神(おおみわ)神社が杉を神木としていることにちなんで、杉玉を吊るす文化が江戸時代に全国の酒屋に伝わったとされている。また、杉は酒を入れる樽や仕込みの道具の材料にも使われており、日本酒と深い関係がある。

 この日吊るされた新しい酒林は、秋田から取り寄せた杉の枝葉を使って同社内で作られたもの。直径約一㍍、重さ約五十㌔もある酒林をフォークリフトで持ち上げた状態で、職員が付け替え作業を行った。最初は青々としている酒林が徐々に茶色く色づいていく様は、新酒のフレッシュな味わいから熟成された芳醇な味わいに変化する過程を思わせるのだそう。

 同日には、酒造りの限られた期間だけ販売される特別な生原酒「今朝ノ酒」が発売された。(岡本成史)