バイオトイレを製造販売している正和電工(橘井敏弘社長)がホタテ貝を粉砕する装置を開発し、十二月下旬から出荷を開始する。

 同社が開発した粉砕装置は幅百三十㌢×奥行七十四㌢×高さ百十㌢と比較的小型。

 橘井社長は「大規模な粉砕機は稼働しているものはあるが、貝殻をそこまで運搬しなければならない。この装置は加工場内に設置し、その場で粉砕できるよう小型化した」と説明する。

 海に近いホタテ加工場の周辺には、加工済の貝殻が山積みとなっている風景をよく見かける。道の調査によると、道東地区では年間六・七万㌧のホタテ貝殻が廃棄されており、有効活用が課題となっている。

 貝殻の主成分は炭酸カルシウム。カルシウムは作物の生育を促す土壌改良の機能があることから、貝殻の粉末は農業用資材のほか、建築用資材としても利用されている。

 この装置は一回に百五十㌔の貝殻が数分で粉砕が可能だ。粒の大きさを旭川工業技術センターで計測してもらったところ、一~三ミクロンだった(一ミクロンは一㍉の千分の一)。ホタテのほか、カキやシジミ、サザエ、アサリなどの貝殻も粉砕が可能だ。貝殻は平たいものが多いことから、粉砕するには技術的な難しさがあり、開発に約一年を要した。

 橘井社長は「天然素材の粉末の利用は、SDGsに貢献できると考えています。貝殻の粉末の有効利用を、皆さんで考えていただきたい」と話した。
 価格は二百九十万円(税別)。特許を出願中という。(佐久間和久)