BCP連携推進
連絡会議を設立
旭川市が立ち上げた「BCP連携推進連絡会議」の会員、旭川機械金属工業振興会(佐々木通彦会長、エフ・イー社長)と北海道機械工業旭川支部(関山真教支部長、旭川機械工業社長)が、十一月十四日から十七日まで、BCPの策定意向の意識が高い香川県高松市内の企業を視察した。
BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害などの緊急事態に遭遇した時、事業資産の損害を最小限にとどめ、中核となる事業の継続や早期復旧を可能とするため、平常時に行うべき活動や緊急時の事業継続の方法、手段などを取り決めておく計画。
同連絡会議を立ち上げた席で、今津寛介市長は「BCP連携のまち・あさひかわ」を宣言。災害が少なく、高い技術力を有し、医療機関が集積する旭川が、被災地の事業所などのBCPの“受け皿”となるよう連携を進めていくと語った。
同連絡会議は、商工会議所などの経済団体や金融機関、高等教育機関、それに機械金属工業振興会や家具工業協同組合、食品加工協議会などの産業団体など十七団体で構成されている。
南海トラフを危惧
危機意識高い四国
今回の視察は機械金属工業振興会が毎年行っていた研修・視察の時期が、同連絡会議の立ち上げ時期と重なり、「それならBCPの先進地の視察を」となったという。
BCPへの意識が高い地域を調べたところ、南海トラフ巨大地震が危惧される四国が高いことが判明し、四県の中から香川県を選んだ。視察団十二人は県都・高松市で産業用ガスや医療用ガスの製造・販売を行っている高松帝酸など三社を視察し、四国経済産業局や香川県の職員とも意見を交わした。
団長を務めた関山さん(50)は「三社とも、地震や津波に対する危機感から、事業の継続と社員を守るという意識が非常に高いと感じた。避難ルートも担当社員が実際に歩いて適切かどうか確認し、避難訓練も定期的に実施していた。被災で、ものづくりができなくなり、要請があった時には、私たちの業界ができるだけの支援をしたいと思った」と語る。
今回は、具体的な連携協定まで話は進まなかったが、情報の交換などは、今後も続けていくという。
エフ・イーは10年前
BCP連携を結ぶ
機械金属工業振興会会長の佐々木さん(69)が経営するエフ・イーでは十年前、静岡県藤枝市の乾燥設備や焙煎設備のメーカー・西光エンジニアリング(橋下育郎社長)とBCP連携を結び、毎年更新している。
同市は東海地震の想定震源地とされており、万一、巨大地震が発生すれば、工場の稼働が不可能になるとして、札幌のテクノフェアで知り合った前社長が、エフ・イーに道経済産業局を通して連携を打診してきた。佐々木さんは、旭川が今後三十年間、震度六弱以上の地震が起きる可能性は〇・四%と、全国で最も低い数値であることも、連携を求めてきた一つの要因と考えている。
「藤枝市だと、旭川は遠隔地ですが、機械メーカーとして何らかの協力できるのではないかと、連携をすることにしました。万一の時は、社員の家族の旭川受け入れも考慮する必要があると思っています」と語る。
機械金属工業振興会には百三十社ほどが加盟している。佐々木さんは「それぞれ得意分野が違っており、機械金属メーカーの団体といえど、異業種の団体ともいえるので、幅広い要望に応えることができる。BCPに関しては企業間同士の連携はなかなか難しいため、今後、市や商工会議所、経産局を通しての要望に応えていくことが、当面の目標となるのではないか。まずは、旭川の災害の少なさと技術力の高さを全国に周知していく必要がある」と考えている。(佐久間和久)