旭川信用金庫(武田智明理事長)が地元の創業間もない事業者を応援する「第八回旭川しんきん創業アワード」の最終プレゼンテーションと表彰式が、十一月三十日、旭川リサーチセンター(緑が丘東一ノ三)で開かれた。
地域の活力を促す事業にチャレンジし、優れた成果を残し、今後の成長が望める、創業六カ月ほどから三年以内の事業者が対象。第一次書面審査を通過した五事業者が最終プレゼンを行った。
各事業者のプレゼンの後、浜田良樹選考委員長(旭川工専教授)ら選考委員六人による最終審査で各賞を決定。トレーディングカード販売事業を行う「コレクト」の代表取締役・太田陽介さん(34)が最優秀賞に選ばれた。
太田さんは、「旭川から世界へ、世界から旭川へ」を理念に、トレーディングカードのオンラインによる輸出販売と、店舗での買い取り・販売事業を行っている。十年間勤務した陸上自衛隊を退職後、二〇二一年に起業。百九十カ国に販売できる世界最大級の越境ECサイト「eBay」を用いた輸出販売事業をスタートした。当初は、ゲームやフィギュアなども取り扱っていたが、商材をトレーディングカードに絞ると売り上げがさらに伸びたという。
二三年に法人化し、市内東光に店舗を構えて買い取り・販売を開始。今年九月には二店舗目となる、イオン旭川春光店をオープンした。
さらに同社の店舗では毎日、トレーディングカードの大会や各種イベントを開催。子どもから大人までが気軽に集まり、交流を深められる場を提供することで、地域コミュニティの活性化に寄与している点も評価された。
太田さんは「来年は国内のオンラインストアを伸ばして販路を拡大したい。海外と国内で需要が違うので、まんべんなく販売できる販路を確保できた状態で、再来年以降に札幌、東京・秋葉原などに実店舗を展開していきたい」と今後の展望を語った。
浜田選考委員長は「私が抱いていたトレーディングカードに対する印象や疑問を、見事に払拭してくれるプレゼンだった。実際に行って楽しめる場所を、ここ二年の間に二店舗もつくっていること、さらに近隣の子どもを呼んで楽しんでもらっているという社会貢献の点から見ても申し分のない、素晴らしい取り組み」と講評した。
また、優秀賞に「ナカフラノブルワリー」の代表社員・鵜飼亮子さん、応援賞に「青空合同会社」の代表社員・稲垣和巳さん、選考委員賞に「ファームズプラス」の代表・黒木由布里さんと、「リブラン」の代表・山下紗緒里さんがそれぞれ選ばれた。(東寛樹)