フタバ湯(加地経郎さん経営、春光七ノ五)が一、二日の両日、行ったボンタン湯が入浴客を楽しませた。

 ボンタンは鹿児島県産。加地さん(65)は「鹿児島のボンタン農家が消費が少なくなったため、生産を止めるという報道があったことから、『手助けに』と鹿児島浴場組合がボンタン湯を始めたので、私も『協力を…』と三年前からやっています。とても香りが良く、体が温まり、皆さん喜んでいます。たぶん、市内の銭湯ではボンタン湯はウチだけだと思うよ」と語る。

 直径二十㌢ほどのボンタンが、男女の湯にそれぞれ十個ずつ。柑橘類独特の甘い酸っぱい香りが、ほんのりと浴場いっぱいに広がっている。

 札幌から祖母の家に遊びに来て、初めてフタバ湯に来たという二十歳代の男性は、「ボンタン湯は初めてです。いい香りがしますね。いやぁ、来て良かったです」とボンタンを手に微笑んだ。(佐久間和久)