生命保険会社の業界団体、生命保険協会が行う奨学金制度「介護福祉士養成奨学金」「保育士養成奨学金」の支給を受けていた旭川管内の学生三人が、一年間の給付期間を終え、十三日、アートホテル旭川(七ノ六)で卒業記念品贈呈式が開かれた。

 介護福祉士の奨学金は、一九八七年の国家資格化を契機に、その養成を支援する目的で八九年から始まり、これまでに全国で五千九百八十六人、旭川管内では六十三人が給付を受けている。保育士の奨学金は二〇一七年度にスタート。全国で八百人、旭川管内では十一人の学生がこれまでに給付を受けている。いずれの奨学金も返済の必要はない。

 二四年度、旭川管内で介護福祉士の奨学金を受けたのは、都築優花さん(旭川福祉専門学校)。

 「介護実習では、利用者とのコミュニケーションは、ただ会話をするために行うのではなく、利用者と介護者の信頼関係を築くために行うということを学びました。言葉だけでなく、表情やしぐさに気を配り、話しかけるときは目線や声のトーンを工夫することを、実習を通して身につけることができました。この体験で培ったコミュニケーション技術は、今後、介護福祉士として働く際に大いに役立つと思います。様々な経験をして、立派な介護福祉士として自立できるよう、いっそう努力したいです」と、学びの期間を振り返った。卒業後は、特別養護老人ホーム美瑛慈光園に就職予定だという。

 保育士の奨学金を受けたのは、山腰胡桃さん(旭川市立大学短期大学部)と松本千花音さん(同)。

 二人は「重度心身障がい者の施設で行った実習では、利用者の気持ちを想像し相手の立場に立って支援・介助することの大切さを学べました。この学びは大人や子ども、障がい・病気の有無にかかわらず、全ての人と接するうえで大切だと感じたので、保育者になってからも、この気持ちを忘れずに保育をしたいと思います。学びを生かして、たくさんの子どもを笑顔にできる保育をしていきたい。子どもが大好きという初心を忘れずに子どもと接し、子どもの気持ちや思いを一番に考えられる保育者になりたい」(山腰さん)、「幼稚園実習で、私が間違ったことを子どもに伝えた際に、子どもたちが優しく教えれくれた経験から、幼児教育は保育者が一方的に伝えるのではなく、子どもと保育者が伝え合い、その中で感情を共有したり気づきを得たりするものであると感じました。また、指導いただいた先生の『嬉しい、楽しいだけでなく、悔しいや怒っている気持ちも子どもに伝えられることが大切』という言葉が記憶に残っています。これからも学びを重ね、自分が目指す保育者像に近づけるよう努力したいです」(松本さん)と、それぞれ今後の抱負を語った。卒業後は、山腰さんが認定こども園慈光園保育所、松本さんが枝幸町認定こども園に就職予定だという。(東寛樹)