第六十回全旭川短歌大会が十月二十六日、ときわ市民ホール(五ノ四)で開かれた。旭川歌人クラブの主催。
旭川市内・近郊の歌人や愛好者たちが、親睦を深めて研鑽を積むことを目的に、年に一度開催している。参加者全員が選者として応募作に投票し、獲得票の多い短歌を表彰する。ことしは四十三人が応募した。
同大会では、応募作を読む歌会を行った後に、互選発表と表彰を行っている。
歌会では披講者七人が、全ての応募作を読み上げた上で解説し、講評。参加者はそれを受けて、意見や感想、疑問点について話し合い、短歌への理解を深めた。
最後に行われた互選発表では、最高賞の旭川歌人クラブ会長賞に、瓢子(ひょうこ)朝子さん(95歳)の「断ちがたき絆のさまに母子草素枯れてもなほ花確(しか)と抱く」が選ばれた。
瓢子さんは受賞について「大変ありがたい結果だと受け止めている。昨年は旭川市長賞をいただいたので、まさかことしも表彰いただけるとは思わなかった」と話した。
あさひかわ新聞賞を受賞した西森仁子さん(79歳)は、短歌を始めて五年目。「これまでは、格好良い言葉を無理に選んで作歌していたが、最近は、見て感じたものを素直に表現するように心がけている。賞をいただけてとても嬉しい」と語った。
受賞者は次のとおり(敬称略)。
▽旭川歌人クラブ会長賞 瓢子朝子「断ちがたき絆のさまに母子草素枯れてもなほ花確(しか)と抱く」▽旭川市長賞 三枝幸三「止まりたる君愛用の腕時計電池替へれば逢へる気がして」
▽旭川市教育長賞 並木美知子「別れあり出会ひがありて今きみと歩幅そろへて道あゆみゆく」
▽北海道新聞社賞 白岩常子「水撒けば付きまといくる白き蝶虹のしぶきをくぐりてゆけり」
▽あさひかわ新聞賞 西森仁子「風立ちてプラタナス通り涼しかり街路灯いま一斉に点く」
▽旭川歌人クラブ奨励賞 深山すみれ「しなやかなミヤギノハギのかたち借り姿をあらわす初秋の風」
▽旭川歌人クラブ優秀賞 柊明日香「廃線のトンネル塞げる鉄柵に咲きて伸びゆく昼顔の花」、奥野公輝「オアシスはまだあの山の先ですかどこまで歩けばいいのでしょうか」
▽旭川歌人クラブ佳作賞 杉本稚勢子「鹿の群れに踏み荒らされし菜園の隅にぽつりと胡瓜の実る」、湯浅純子「母に似る節榑立ちし十指なり木陰に入りて下草引きぬ」
(横地純鈴)





