上富良野町に配備される長射程ミサイルの「ねらいと住民リスク」と題した講演会が十月二十六日、北星公民館(北門町八)で行われた。長射程ミサイル配備に反対する道北ネット準備会の主催。

 同町に来年度配備される計画の適地攻撃型長距離射程のミサイルは、「島しょ防衛用高速滑空弾」と言われ、数百㌔から数千㌔の射程をもつ。高い高度で上昇した後、超高速で飛び、軌道が変則的なことから、敵の防空網を突破して攻撃する高い能力がある。防衛省は全国の六カ所の自衛隊駐屯地に、このミサイルを配備すると発表している。

 オンラインで講演したジャーナリスト・布施祐仁さんは、①上富良野に配備される「島しょ防衛用高速滑空弾」とは、どんなミサイルか、②ミサイル配備のねらいと背景。なぜ上富良野なのか、③ミサイル配備による住民リスク、④ミサイル配備で抑止力が高まり、住民・国民は安全になるのか、の四つの視点で話した。

 布施さんは、戦争と平和の問題をテーマに二十五年間取材・執筆を続けてきた。著書に『ルポ・イチエフ 福島第一原発レベル7の現場』(岩波書店)など多数ある。

 講演で、「この滑空弾の『性能向上型』の射程は二千~三千㌔で、上富良野からでも、中国本土や南西諸島が射程に入る距離」「ミサイル配備のねらいは、日本列島全体をミサイル基地にする、米国の対中国軍事戦略の構想」「ミサイル弾を保管する弾薬庫の増設は、敵の攻撃を受ける危険性がある」「中国が台湾に侵攻する可能性は低い。中国が台湾に軍事的圧力を強めているのは、『一つの中国』を認めない台湾の民進党政権をけん制するため」「アメリカが台湾への関与を強めているのは、中国がアジア太平洋地域で“覇権”を築くことを阻止するため。この地域は将来、重要な市場になるからだ」「ASEAN(東南アジア諸国連合)は、対立や対抗ではなく、協力するインド太平洋地域を目指す構想を採択した。軍事力の強化や抑止力の強化ではない、ウィンウィンの世界秩序の構築が求められる」などと話した。

 また上富良野町議の米澤義英さんは、「自衛隊の町、上富良野では表立った配備反対の声は聞かれないが、『ミサイルを保管している弾薬庫が狙われるのではないか』と、心配する町民の声もある」と町の現状について報告した。

 会場からは「今津寛介市長は『上富良野が住民説明会を防衛省に求めていない』と、説明会の要請はしないというが、説明会を開催させる方法はないものか」と布施さんに質問があった。

 布施さんは「防衛省は自治体の要請があれば、説明会を開くとしている。配備反対の声を強め、市長に開催の要請をさせることです。与那国島では、自衛隊増強の誘致に積極的だった町長が落選する、まさかの結果が起きた。主権者が住民であることの世論を形成することが重要」と説明した。

 講演後、長射程ミサイル配備に反対する道北ネットが結成された。(佐久間和久)