画像 一九二七年(昭和二年)に道北地方で発生した、治安維持法下の初の弾圧事件「集産党事件」の発生八十周年を記念した学習会が十七日、勤労者福祉会館で開かれた。

 講師は名寄で長く高校の教師を務め、現在は江別市在住で酪農学園大学講師の宮田汎さん。集産党事件は同年十一月十三日、稚内の機関手・松川泰助と、旧天北線浅茅野駅(猿払村)の石井長治が逮捕されたのを発端に、名寄や士別、旭川、旧樺太の本斗などで四十人以上が逮捕された。当時の資料では、集産党は同年に結成されたとされ、労働者が生産した物を国家へ集約するという思想が、共産主義以上に徹底していたという。当時、道内には共産党の組織はまだなかった。

 宮田さんはこの時代の社会情勢や、名寄、士別、旭川など事件の舞台となった町並みの風景、事件に巻き込まれた人たちの写真などをスライドで紹介しながら、事件発生から終戦までの流れを分かりやすく解説。翌年三月十五日には全国で最大規模の弾圧が起こるが、この直後、旭川で農民を中心に弾圧に抗議する大規模な集会が開かれている。

 宮田さんは「全国の抗議集会でも最大規模のものです。当時の旭川の農民のすごさを感じました」と話し、集まった約八十人の市民はうなずきながら宮田さんの話に聞き入っていた。