「てめえのオヤジの話を、てめえの新聞に載せるなんて、どういう了見なんだ?」と猛抗議を受ける前に、理由を書きます。十八㌻にある「亡父の声聞きたい」のことです。

 スタートしたのは、二〇〇二年四月二日号、最初に登場していただいたのは、FMりべーるの柳沢紀夫社長でした。以来、連載は途切れることなく、六百二十二人の男が、それぞれの亡父の思い出を語ってくれました。

 実は、連載を始めるとき、私は当時の担当記者に「最後は、オレが親父の話をして終わるからな」と宣言していたのです。

 一九二三年(大正十二年)生まれの亡父は、その頃の男は誰もがそうだったのでしょうが、戦争に駆り出され、お国のために戦い、運よく「英霊」にならずに帰って来てからは、高度経済成長の変化に順応を強いられながら、家族のために、職場のために、身を粉にして働き続けました。その時代には、猛烈社員とも、企業戦士とも呼ばれませんでしたが、とにかく一途に仕事に向かったのです。この連載を企画したのは、息子だからこそ、息子にしか分からない父親像がある、という私の思いでした。そして、もう少し親父と話をしておけばよかったという悔恨でした。

(工藤 稔)

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