不思議な気持ちになれる時間を楽しめる展覧会だ。版画家の末武英一さん(67)の写真展「ミズノカタチ・クウキノカタチ」がこども冨貴堂(七条買物公園)のギャラリーKIDSで開かれている。

 タイトルに「初夏のサイン」とある。満天の星空に木の枝のシルエットが映っていると思った。ところが、写真に添えられた解説文を読むと――

 「大きなドロヤナギの木から発生した綿毛状の種子。そよ風に吹かれて無数の浮遊物が青空に沸き上がる。真昼の銀河みたいだ。六月下旬、この景色が大型のタテハチョウ、オオイチモンジの羽化が間近なことを知らせてくれる」

 ほかにも、「キヌツヤミズクサハムシ」、「夏のサンピラー」「十二月二十三日午後六時」などなど、夏も冬も、毎日欠かさず嵐山を歩き続ける末武さんが出会った「ミズノカタチ・クウキノカタチ」が、秀逸な解説文を添えられて二十点。三十日まで。こども冨貴堂とギャラリーKIDSは午前十時から、午後六時まで開いている。