産業用大麻・ヘンプの産業振興を目的にした第一回北海道ヘンプセミナーが二十五日、東川町キトウシ森林公園内の森林体験研修センターで開かれた。遠くは山梨県からの参加者もいて、約五十人が集まった。北海道産業用大麻協会(菊地治己代表理事)の主催。

 ドイツ在住の環境ジャーナリスト・川﨑陽子さんが「環境先進国ドイツのヘンプ事情」と題して講演した。

 川﨑さんは、「公害大国日本は何故、環境先進国になれなかったのか」と問題提起。地方主権のドイツと中央主権の日本の政治形態に起因する、環境問題に対する取り組みの大きな違いを指摘し、日本は企業側に立ち、省優先の官僚主導と批判。ドイツでは日本のメディアを「広告収入のための大本営発表」と酷評していると紹介し、「政治の監視役を果たしていない」と指弾した。

 ドイツのヘンプ事情について、ヘンプを材料とした断熱材の製造でドイツ環境賞を受賞した、ホック社の先駆的事業をユーチューブを使って解説。ヘンプの断熱材を使って建設した家は、再生可能エネルギーの助成金の対象となる。自然を利用した発電に限らず、様々な省エネの取り組みが、この助成金を受けられるのは、日本と違って環境行政が一元化しているためだと説明した。

 また、ドイツで買い求めたヘンプを素材にした衣類やクラッカーなどの食品、石鹸などの生活用品も紹介した。

 講演会の後、参加者らは東川町からヘンプの研究栽培を委託されている松家農園(松家源一社長)を訪れ、ヘンプの畑を見学した。