元郵便局職員の宮原光衛さん(88)が郵便事業百五十年を記念する絵はがき(八枚組)を製作した。

 宮原さんは根室市生まれ。父親が根室郵便局に勤務しており、後を継ごうと夕張市で十四歳から郵便局に勤務。六十歳で旭川・永山郵便局を最後に退職した。

 退職した一九九三年、赤い筒形の丸型ポストが廃止になると聞き、車で道内の丸型ポストを撮影して回り、十枚組の絵はがきを製作した。その後、旭川・日の出郵便局が旭山動物園前郵便局と名称を変えた時にも絵はがきを、続いて「郵便の歴史しおり」、「外国郵便ポスト絵はがき」と製作してきた。

 「今年は明治四年(一八七一年)に郵便事業がスタートして百五十年になる記念の年なので、私が郵便局勤務時代に簡易保険でお世話になった、市内の彫刻家の方々の作品を使わせてもらいました。もちろん、ご本人やご家族から了承を頂いております」と宮原さん。

 作品は、藤崎清さんの鮭を食わえたヒグマの彫刻や岩間功さんのフクロウの彫刻など。これらをはがき表の右下に印刷し、裏全面が文章が入るレイアウトになっている。三百部製作し、ほとんどを丸型ポストの会会員や退職者仲間、市内の各郵便局に配付した。

 「来年は郵便と関連の深い“駅鈴(えきれい)”を、私が住む学区の千代田小学校の児童に贈ろうかと思います。現在、国内で作っているのは福井県の一事業所だけで、その業者に少しずつ発注しているところです」と話す。

 駅鈴は古代、国が駅使(えきし)に給付したもので、駅使は駅馬を使って街道の各駅で宿泊、食糧の供給を受けて郵便や荷物を運んだ公用の使者だったとのこと。

 宮原さんの郵便に対する愛着は並大抵ではない。「製作費用はすべて自前だが、私の大事な趣味です」と笑顔だ。(佐久間和久)