札幌市出身で秋田公立美術大学ものづくりデザイン専攻四年の関口史紘さん(22)の個展「紙と十二年」が、8条通ビルヂング(市内八ノ十七)二階で開催されている。

 関口さんは小学一、二年生の頃にペーパークラフトに熱中したが、もともとモノの形や構造に興味やこだわりがあり、「本当ならここが開くし、ここには穴が空いていて、ボタンもある」などと既存のものでは満足できず、小学四年生の時にボール紙を使った独自の創作に行き着いた。

 最初の作品「机と椅子」は、学校の昼休みなどの時間を使って約一週間で制作。その作品を見た当時の担任から「これを作れるというのが君の特徴だから、ぜひ続けてほしい」と言われたことがきっかけで、創作活動がスタートしたという。関口さんは「何となく作ったものが、そこまで評価されるとは思っていなかったので驚きました。誰かが作ってくれなくても、自分が作ろうと思えば作れるんだという発見は、とても大きいものでした」と当時を振り返る。

 関口さんが昨年九月のインターンシップで市内の建築模型製作所「ブロック・エム」(冨沢晃史代表、八ノ十七)で働いた際、関口さんの作品を見た冨沢代表から同社がアート関連事業を支援するため運営するシェアスペースで個展を開いたらと勧められた。

 会場には「ランドセル」や「扇風機」、「革靴」「傘」など、関口さんが十二年間で制作した二十五点の作品がずらりと並ぶ。作品は、ボール紙と木工用ボンドを使い、何重にも重ねられた紙を彫刻刀で削り出すなどして形づくられている。

 関口さんは「紙を使って同じような表現をする人は世の中にたくさんいますが、小学四年生から同じ活動を続けているというところに意味や価値があると思っています。十二年間の中で変わったものや変わらないものなど、続けて来なければ出て来ない表現が必ずあります。展示を見に来てくれた人が、何か継続できるものを見つけるきっかけになればいいですね」と語る。

 十二月五日(日)まで。入場無料。開場時間は午前九時~午後六時。会期中無休。

 問い合わせは関口さん(kami.to.12.nen@gmail.com)へ。(東寛樹)