「男の茶の湯」の先生、佐藤宗章さん(65)は元高校教師。担任をもったとき、クラスに留学生を迎え入れたことがある。彼ら、彼女らは、日本の茶の湯や歌舞伎などの伝統文化に興味を示す。日本人として、お茶をちゃんと学ぼうと思った。

 佐藤さんは、旭川に住む外国人に日本語を教えるボランティアをしていた。狂言を習いに東京に通ったこともある。それも同じ理由から。退職後は、海外に日本語を教えに行きたいとも考えていた。

 奥さんの美幸さんは、食事や慶弔のマナーを教授する作法会の先生だ。その作法の一つとして、お茶もある。宗章さんの茶の湯への興味は、奥さんのマナー教室の影響もあるかも知れない。

 定年退職を前に、師匠について正式に茶の湯を学び、資格をとった。現在は豊幸樹作法会・佐藤宗章(表千家)の肩書で活動している。男性や外国人にも気軽に茶の湯に親しんでもらおうと十一月から、立礼卓(りゅうれいたく=イス席)を使った教室を始めた。

 「茶の湯は、もともと男のもの。忙しく働いている男性たちに、お茶の世界をぜひ体験してほしい。日常と非日常の切り替えに、お茶はとても良いと思う。気軽にどうぞ」と佐藤さん。

 取材した日は、呉服店を経営する佐々木順久さん(69)が習いに来た。前月の体験講座に参加していて、二回目だ。袱紗(ふくさ)の使い方から始まり、細かな作法を習いながら、実際にお茶を点てるまでを体験した。

 「以前、知り合いに誘われて習い始めたことがあるけど、若かったからね、途中でやめてしまった。七十の手習いですよ。イス席だから、気持ちも足も楽だよね」と、なんとも渋い和服姿で指導を受けていた。

 立礼卓を使って正式な茶道の点前(てまえ)を学ぶ「男の茶の湯」教室は、①毎月第三金曜日の午後四時からと午後五時から。②翌土曜日の午後二時からと午後三時から。会場は、茶房はなより(二ノ七ヨシタケ2号館一階)。参加費は、一回千五百円(茶菓子を含む)。

 必ず予約が必要です。予約・問い合わせは、佐藤さん(TEL54―3885)へ。