【将来は学校の先生に】
 「将来は学校の先生に」と考えている東京学芸大学一年生の下平啓介さん(19)が二月二十一日から約一カ月間、インターンとして市議会を中心に、さまざまな経験を積んだ。引受先となったのが、市議の野村パターソン和孝さん(37・民主連合)。野村さんが「若者と政治をつなぐ」を掲げているNPO法人ドットジェイピーに登録していて、下平さんが野村さんをインターンシップ先として選んだ。下平さんは「とても充実した一カ月でした」と振り返った。

 神奈川県藤沢市生まれ。横浜サイエンスフロンティア高校を卒業し、学芸大学に進んだ。「自分の周りには政治に関心のある学生はほとんどいませんでしたが、色んなことを経験したい」と昨夏、赤平市選出の道議会議員のもとでインターンシップ。「北海道がとても気に入ったので」と春休みを利用して来旭した。

【第一回定例会を傍聴】
 旭川に滞在していたのは、市議会の第一回定例会の会期中。下平さんは、本会議場での代表質問や新年度の一般会計予算を審査する特別委員会を傍聴した。特に、野村さんが所属する特別委員会の総務経済文教分科会には毎回顔を出した。

 印象に残った質疑に、「教育に関心があったので」と、横山啓一議員(無所属)のギガスクール、門間節子議員(公明党)のジオパークについての質問を挙げた。

 「横山議員は児童生徒一人ひとりに配付されたタブレットの使い方を懸念していました。門間議員ご自身も興味があるとおっしゃっていたジオパークは、旭川を好きになる素晴らしい“地元学″だと思います」

 質問について、野村さんが市の担当者と打ち合わせをする場にも同席した。

 「野村議員は決して担当者を批判するようなことは言いませんでした。『よくやっています』と相手をほめて、もっと前に進むように促していました」

 分科会の審議終了後は、野村さんに同行し、市内の企業や金融機関、上川総合振興局、近隣町などにも足を運んだ。

 「東川町の旭岳ビジターセンターを訪ねた時、そこの清掃員の人が熱心に説明をしてくれました。外から来た人に伝えたいという思いを強く感じました」

【「何でも吸収したい」とメモノートが4冊に】
 野村さんが所有する住居で「レトルトカレーと電子レンジでチンのご飯」の自炊生活をした。土・日曜日はレンタカーで駆け回った。

 「層雲峡や科学館サイパル、東川町の織田コレクションの椅子など、色んな所に出かけました。特に三国峠の松見大橋から見る大自然の風景は絶景でした。とてもほかでは見ることができません。旭川は都市と自然が融合しており、車で少し走れば国立公園に行けるし、四季を通してアウトドアを楽しむことができます。この魅力を発信すると、すごいアドバンテージになると思います」

 旭川でインターンシップを始めた時から付け始めたメモノートは四冊になった。

 「気が付いたことは何でもメモしました。夏にインターンシップをした時は不完全燃焼でしたから、今回は何でも吸収し、自分のモノにしたいと思いました。まだ読み返していませんが、今後に役立てたい」

 二男一女の兄弟の末っ子。建設業を営む父・勇さん(60)からは「専門性を持ち、自分の軸を持つため大学院に行け」と言われているという。「父の意に沿わない大学に進んだので、大学院には行こうかな」と笑顔だ。

 野村さんは「藤沢市に戻り、『自分なら、こういうまちづくりをしたい』という思いが湧いてきたら、政治の道に進むのも生き方のひとつ」とアドバイスした。(佐久間和久)