「君の椅子」プロジェクト(磯田憲一代表)の二〇二二年モデルの発表会と贈呈式が四月十六日、旭川デザインセンターで行われた。

 子どもの誕生を祝って自治体がイスを贈る取り組みで、〇六年にスタート。十八脚目となる今作は、東京のデザイナー・坂本茂さん(60)が、ヨーロッパの教会や食堂に無造作に置かれている、座面がイグサのイスを元にデザインした。道産のミズナラを使って、アートクラフト・バウ工房(東川町)と匠工芸(東神楽町)が製作する。

 坂本さんはデザインについて「何の変哲もないイスですが私にはとても魅力的で、それを子どものイスに落としこみたいと考えました。遠く離れた世界のどこかに、同じようなイスがあるということを、このイスを使う子どもたちにも知ってもらいたい。そして、世界のどこかで起こっていることにも、自分のことのように思いを巡らせられる人になれるのではないか、という思いを込めました」と説明する。

 贈呈式では、上川管内の赤ちゃん二人にイスが贈られた。東神楽町の小足來実(くるみ)ちゃん(3カ月)の母・梨帆さん(27)は、「かわいいイスで、とても気に入りました。たくさんの大人の思いが込められていることを知れたので大切にしたい。これからお座りができるようになるので、使うのが楽しみです」と笑顔で話した。(東寛樹)