みなみの杜高等支援学校で
2人の活動を報告

 「生徒たちの夢を、北海道でいちばん高い山の旭岳に届けよう」というプロジェクトが旧暦の七夕の四日、行われた。

 旭川在住の稲垣冬馬さん(37)と中山香さん(57)は昨年十二月、札幌市立みなみの杜高等支援学校を訪問、二年生の道徳の時間に二人がこれまで取り組んできた活動について報告をした。二人の活動報告が終わった後、田中進一校長が「来年、みんなの夢を富士山に届けます」と宣言。それぞれの夢を紙に書いてもらった。しかし、コロナ禍などさまざまな事情から、富士山登頂は断念せざるを得なくなった。

 でも三人は「どうしても」の思いから、「北海道でいちばん高い山の旭岳山頂に届けよう」と計画を変更し、実行に移すことにしたという。

 稲垣さんと中山さんは二〇〇五年から毎年、様々な人たちから、白いハンカチ(紙)に書いてもらった夢を旧暦の七夕の日、富士山に山頂に届ける夢ハンカチの活動をしてきた。この活動は、山内大志さんが発起人となった「富士夢まつり」で、多い時は主旨に賛同した全国の人たちがバスで駆けつけた年もあったという。

4日、8人で
旭岳山頂に届ける

 あさひかわ新聞は一八年七月十七日号で、二人と滋賀県から駆けつけた女性の三人が、リヤカーを引きながら一カ月かけて富士山頂に立つという、神居古潭からの“出発”の様子を取り上げた。途中で出会う人たちから夢ハンカチを書いてもらいながら歩き、善意で泊めてもらった人たちの助けで、八月十七日無事富士山頂に夢ハンカチを届けている。この活動は二〇年に中止、解散した。以後は、それぞれが、それぞれの夢ハンカチの活動に取り組んでいるという。

 四日午前五時半、旭岳ビジターセンターから、二人の行動に賛同した十代から五十代の人たちを含め、七人でスタート。七時半に五号目のロープウェイ乗り場で賛同者一人と合流し、十一時に無事山頂に五十六枚の夢ハンカチ(紙)を届けることができた。下山後、田中校長は皆の前で「生徒たちの夢を、無事届けることが出来ました。ありがとうございます」と礼を述べた。

 夢ハンカチの活動を続ける理由について、中山さんは「皆の笑顔がみたいから。暗いニュースばかりで、夢ハンカチの明るいニュースを届けたら、日本が元気になるかも」。稲垣さんは「自分も感動したいからかな。夢ハンカチを託してもらい、それを届けた時、SNSで多くの人たちと感動を共有できる。それがとても嬉しい」と話す。これからも、二人は「夢ハンカチの活動を続けていくつもり」という。(佐久間和久)