作家・芥川龍之介の生誕百三十周年を記念するミニ展示会「旭川の芥川龍之介」=写真=が、旭川文学資料館(常磐公園内)で来年三月三十一日まで行われている。主催は旭川文学資料館。

 芥川著の本や雑誌、新聞記事など約百五十点を展示している。

 芥川は死の二カ月前、旭川を訪れ講演をしている。当時の出版社、改造社が価格の安い円本(一冊一円)「現代日本文学全集」を企画。この宣伝のため、芥川と作家の里見弴が一九二七年(昭和二年)五月十三日から二十五日にかけて、仙台、盛岡、函館、札幌、旭川、小樽、青森、新潟をめぐる講演旅行を行った。旭川では十九日、三条十五丁目にあった錦座で、里見は「文芸の味い方」、芥川は「表現」を演題に講演した。

 二人の講演を詩人の小熊秀雄と小池栄寿が聞いている。小池は一九六二年発行の『情緒』第三十七号に、芥川と小熊とを比べ、「オールバックにした長髪は、背首のあたりに美しくちぢれて垂れ下がっていた。白哲な顔の広い額の下には、実に綺麗に澄んだ瞳が輝いていた。芥川竜之助(ママ)に似ていると云われると嬉しそうに、にこにこした」と書いている。

 漫画家の日野あかねは、当時、旭川新聞の記者だった小熊が芥川を取材したというイメージマンガを描き、展示している。

 二人の来旭を報じた当時の旭川新聞や雑誌、資料などのコピーも多く、椅子に座って、じっくりと読むことができる。

 開館は午前十時~午後四時。休館日は毎週日・月曜日、祝日、年末年始。入館は無料。

 

俳人・松王さん記念講演
「芥川 最後の旅そして絶筆へ」

 三月十一日(土)午後一時半から、俳人の松王かをりさんが「芥川 最後の旅そして絶筆へ」と題して、常磐館(常磐公園内)二階講堂で記念講演を行う。終了は午後三時を予定。

 松王さんは奈良生まれ、札幌在住。現代俳句評論賞受賞(二〇一七)、現代俳句協会年度作品賞受賞(二〇二二)。著書に『最果ての向日葵―俳人藤谷和子に聞く』(二〇二一)。

 参加は無料。定員三十人。二月二十一日(火)から電話で参加申し込みを受け付ける。定員になり次第締め切る。

 申し込み・問い合わせは、同館(TEL22―3334)へ。(佐久間和久)