十二月十七日(土)、十八日(日)の両日、まちなかぶんか小屋(七条買物公園)で、ドキュメンタリー映画の上映会が行われます。まちなかぶんか小屋映画部会の主催。

 上映作品は、『国境の夜想曲』(イタリア・フランス・ドイツ/二〇二〇年/百四分/アラビア語・クルド語)。「抗う(あらがう)個」を年間テーマとして開催している「あさひかわドキュメンタリーフェスティバル2022」プログラムAの後編として上映されます。前編では貧困や暴力から逃れる人々にスポットを当てた作品を上映しましたが、後編はテーマを「逃れる―その地へ遡及する」と設定し、難民を生み出すその地へと遡り、現実を見ようと試みた作品を選びました。一作品を二日間にわたって上映し、二日目の最後に感想をシェアする会を開きます。

 『国境の夜想曲』は、国際映画祭などで評価の高いジャンフランコ・ロージ監督の作品で、イラク、シリア、レバノン、クルディスタンの国境を、三年間行き来し撮影した映像で組み立てられた映像詩的なドキュメンタリーです。紛争地の国境地帯で撮影された作品でありながら、本作を特徴付けるのは、美しい風景と静謐(せいひつ)な世界、そしてそこで生きる人々が淡々と日常を営む姿です。それは逆説的に、見えていない闇の深さを描き出しているとも言えます。第七十七回ヴェネチア国際映画祭で三冠受賞の作品です。

 同会の滝本幸大さん(32)は、「この作品は『抗う・逃げる』ことすらできず、そこで生きざるを得ない人々の現実を描いています。言わば、日々の営みを続けること自体が『抗い』であるような。最初わかりにくいと感じながらも伝わるものが確かにあり、早く二回目を観たいという強烈な感覚に襲われました。ショッキングな映像よりもむしろ記憶に残る、強度の高い作品だと思います。光の方を見つめる少年の表情を見て、『どういう未来にしたいのか』と自分にも問われているように感じました。市民の上映会ではまず観ることのできない作品ですので、この機会にぜひ。また、想像する余白のある作品なので、感想をシェアするのも面白いと思います」と来場を呼びかけています。

 上映時間は、一日目が①午前十時②午後二時③同七時の三回(まん延防止措置等が出された場合、③の開始時間は午後六時十五分)。二日目は上映が①午前十時②午後二時の二回で、同四時からシネマカフェ(感想シェア会)が開かれます。映画は各回二十五席限定です。

 前売りチケットは千円(当日千二百円)、会員・学生は二百円引き。まちなかぶんか小屋、こども冨貴堂、ジュンク堂書店旭川店で扱っています。

 問い合わせと予約は、まちなかぶんか小屋(TEL・FAX23―2801、メールbunkagoya@sky.plala.or.jp)へ。