市民団体「まちづくり旭川市民会議」が昨年十二月、買物公園などへの電動キックボードの活用に反対する要望書を市に提出した。

 内容は、今津寛介市長が推し進めようとしている「買物公園などでの電動キックボードの活用」について、政策の必要性や買物公園の理念との整合性などについて丁寧な説明がなく、多くの疑問や問題があるとして、早急な再考・撤回を要望するもの。

 昨年六月に行われた買物公園五十周年記念セレモニーでは、今津市長自身が電動キックボードに乗って登場し「規制があることで発展できないというのは、あってはならない。今の時代に合った、買物公園のあり方を皆さんと一緒に考えていきたい」と語っていた。

 要望書を受け取った中村寧副市長は「市長が公約に掲げたのは、社会実験を行うという内容で、必ずしもすぐに買物公園をキックボードが通れるようにするというわけではない。全盛期に比べ中心市街地に集まる人が少なくなり、その活性化に向けたきっかけの一つとして考えられたもの。アンケートでも反対意見が多かったという状況や、今回の要望書の内容も踏まえながら考えていくが、あくまでも社会実験としては行いたいと思っている」と述べた。

 同団体代表で弁護士の八重樫和裕さんは「社会実験ということだが、その前に、買物公園を旭川のまちづくりの中でどのように位置づけ、見据えていくのかという観点が重要。『やってみたら面白かった』というような話ではないと思っている。まちづくり全体をどうするのか、ということを考えていただきたい」と求めた。

 要望書提出後に同会が行った記者会見で、八重樫さんは「この政策は『車社会からの解放』という買物公園の理念に逆行するものであり、買物公園の性格を大きく変えてしまうことにもなる。そもそも、市内でほとんど見かけないものを走らせることにどれほどの需要があるのか。旭川のまちづくり全体としてどうするかという大きな視点が見えないことが残念。買物公園は旭川の背骨になるような場所。そのまま進まれては困るという思いから今回、要望書を提出した」と語った。(東寛樹)