『詩の檻はない~アフガニスタンにおける検閲と芸術の弾圧に対する詩的抗議』〔発行所・バームダート(亡命詩人の家)、発行者・ソマイア・ラミッシュ、編集・柴田望〕の発行を記念するトークと朗読のイベントが八月二十四日、まちなかぶんか小屋(七条買物公園)で行われた。

 アフガニスタンのタリバン暫定政権が、今年一月十五日発令した「詩作禁止令」に抵抗し、世界の詩人たちへ連帯を呼びかけた詩人のソマイア・ラミシュさん(元ヘラート州議会議員)のもとへ寄せられた詩作品を収めた、この日本語版書籍が八月十五日、旭川で発行された。
 ソマイアさんは現在、アフガニスタンからオランダに亡命しており、世界の詩人に向けて「詩作禁止令の抗議を表明するために、詩を送って欲しい」と、メッセージを発信。このメッセージを受信した、旭川で詩誌「フラジャイル」を主宰する詩人の柴田望さんが、全国の詩人たちに情報の拡散と、詩の投稿の呼びかけを行った。日本を含む世界各国から百人余りの詩人が作品を寄せたという。

 この書籍には、国内外から五十七人が作品を寄せている。すべて日本語に翻訳され、原文も掲載されている。

 「あとがき」に柴田さんは「今の時代に、一人の詩人から、世界の詩人たちに対する呼びかけが行われたことに、深い感動を覚えました。詩のあり方だけでなく、人間の存在の根本に深く響くような問いかけでした」と書いている。

 表紙に、あさひかわ新聞にコラムを連載している写真家の谷口雅彦さんが海の写真を寄せ、ソマイアさんの似顔絵を漫画家の日野あかねさんが描いている。

 トークと朗読のイベントには、約二十人が参加。文芸評論家の岡和田晃さんと二条千河さん(日本詩人倶楽部新人賞受賞詩人)、フラジャイル同人の小暮純さん、谷口さん、日野さんが、この書籍発行の意義や発行にかかわった経緯について話した。

 東京から駆けつけた、この書籍発行の支援をしてきたウエップ・アフガンの野口壽一さんは「オランダ・アムステルダムからソマイアさんが発信した情報が、旭川から世界に向けて発信された」と、日本の一地方都市である旭川から「詩作禁止令」に抵抗する詩人たちの作品が掲載された書籍が発行された意義を強調した。

 同書は千八百七十円(税込み)。市内のジュンク堂書店旭川店(一条買物公園、フィール五階)、こども冨貴堂(七条買物公園)、コーチャンフォー旭川店(宮前一ノ二)で販売している。(佐久間和久)