大源 目黒呉服店(三ノ七、ヨシタケパークビル八階)で「琉球染織展」が開催されている。芭蕉布(ばしょうふ)や八重山上布、久米島織、花織など五十点を超える布を展示・販売している。

 同店四代目の目黒有季哉さん(36)によると、沖縄の布は島々によって違いがあり、沖縄本島のような大きな島になると地域によって織りや染めに、その地域それぞれの特徴があるという。

 その中でも特に知られる芭蕉布は、糸芭蕉(イトバショウ)の繊維を使って織られ、沖縄本島の北部に位置する大宜味(おおぎみ)村の喜如嘉(きじょか)で生産され、糸芭蕉の栽培から生地の仕上げまで、全てを手作業で行っている。布は糸芭蕉の中心部だけを使用することから、一反の布を織るのに糸芭蕉二百本を要する希少価値の高い織物。

 沖縄の織りの代表的な文様の「五四(いつよ)」は「いつの世までも末永く一緒に…」という織人の願いが込められており、染めは伝統工芸ゆえに、百年以上ほとんど変わっていないという。

 この催しは同店が奇数月に開催している企画展。このように多くの沖縄の織りや染めを見る機会は、市内では稀。一見の価値はありそうだ。

 目黒さんは東京のアパレル店に勤務していたが、七年前に後を継ぐため帰旭。「母(三代目)に『帰って来ないなら、店を畳む』と言われ、明治四十五年(一九一二年)創業の店をなくするのはもったいないと思い、店を継ぐことを決めた。旭川では若い人が着物を着る機会は少ないが、最近はイベントなどで、着る人が少しずつ増えているようです。遊び心で、気軽に着物を楽しんでほしい」と話す。(佐久間和久)