旭川農業高校(永山町十四)が昨年四月から髙砂酒造(市内宮下通十七)や地域の企業・団体などと協力して進めてきた日本酒プロジェクトがゴールを迎え二十一日、同校会議室で発表会が行われた。

 同プロジェクトは、酒米の生産から醸造、製品化までの工程を同校農業科学科水稲専攻班が行う企画で、今年で三年目。今年は初めて、同時に酒粕甘酒の製作に挑戦。発表会には二・三年生十五人が参加した。

 完成した日本酒は同班が栽培した酒米「きたしずく」を使った純米酒。名前は生徒たちが考え、特別な日や晩酌など、飲む人たちが「憩い」の時間を過ごせるようにという気持ちを込めて「憩(いこの)ふ雫」に決定した。

 発表会は、同校の近江勉校長が「私も日本酒が大好きで完成を楽しみにしていました。昨年は赴任したばかりで購入しようと思った時には在庫がなくなっていたので、今年はすぐに購入してゆっくりと楽しみたいと思っています」と、期待を込めた挨拶でスタート。その後、髙砂酒造の森本良久杜氏から「昨年の猛暑で酒米の出来が良くない中、旭農高で収穫した『きたしずく』は他に比べてマイナスの影響が少ない良いコメでした。それでも苦労はしましたが、そこも含めて楽しんでもらえればと思います」と話した。

 今年度、水稲専攻班の班長を務める三年生の殿山航右くんは「最初はこのプロジェクトをここまで楽しめるとは思っていなかったので、自分でも驚いています。また、このプロジェクトを通じて取材などで話をする機会が多く、苦手だった話し方など様々な部分で成長できたと思います」と笑顔で話した。

 「憩ふ雫」は、七百二十㍉㍑入り千四百八十五円(税込)限定六千本、「酒粕甘酒」は百九十㌘入り三百円(税込)限定一万四千本で、ともに三月一日(金)から髙砂酒造直売店・オンラインショップ、全国の酒類販売店で販売される。

 また、髙砂酒造ではプロジェクトに参加した生徒たちが二十歳になるまで「憩ふ雫」を貯蔵し、二十歳を過ぎたタイミングでプレゼントする予定だという。(工藤森)