築37年、ボイラーなど
大規模な改修が必要

 昨年三月末に閉店した銭湯「菊の湯」(市内神楽五ノ十四)の復活に向け、多くの人たちに資金の協力を呼びかけるクラウドファンディングが現在、進行中だ。

 このプロジェクトを進めているのは、京都で銭湯文化を発信している「FRO CLB(フロクラブ)」(塩路道徳代表)と、旭川のサウナ愛好家でつくる「アサヒサウナ」(桐原和弘代表)。アパレル関連の仕事で知り合った、銭湯とサウナの愛好家の二人が、「全国で減少する一方の銭湯を何とか復活させたい」との思いで、このプロジェクトをスタートさせたという。

 菊の湯は一九六四年に開業。五十九年の歴史があった。だが十年ほど前、近くに二軒のスーパー銭湯ができ、売り上げの減少傾向が続く中、コロナ禍で入浴客が大幅に減少。加えて燃料費や電気代の高騰から、「営業を続ければ続けるほど、赤字が増える」ことになり、当時、旭川浴場組合の組合長だった熊谷清志さん(69)が閉店を決意した。

 現在の菊の湯は、八七年に建設したアパート併設の鉄筋コンクリート造りの三階建て。熊谷さんは「ボイラーや燃料タンク、配管など耐用年数が過ぎており、交換しなければならない。サウナは二年ほど前に故障して以後、使用していない。大規模な改修が必要と伝えてある」と話す。

 菊の湯復活に向け、現場を統括している桐原さん(42)は、「熊谷さんの協力を得ながら、遅れ気味の設備改修を急ぎ、何とかゴールデンウイーク頃には営業をスタートさせたい」と意気込む。

 プロジェクトチームは、菊の湯の施設を借りて営業する。熊谷さんとはすでに賃貸契約済みで、後は手順よく進めることだけが課題となっている。

 

フィンランド製サウナ
外国人も誘客

 桐原さんはノースフロンティア(神楽二ノ六)社長。アパレル販売やイベント企画のほか、サウナ施設運営やサウナレンタルなどの事業も行っている。サウナへの思い入れは人一倍で、サウナ好きの仲間を集めアサヒサウナを発足させ、銀座通商店街に「銀座サウナ」を運営している。

 菊の湯復活にも、サウナを活用した営業を思い描く。「サウナは本場フィンランドのブランドもので、菊の湯でなければ入ることのできないサウナで若者を呼び込む。さらに限定商品を置き、美容・飲食・ハンドメイドなどのポップアップショップを開くなど、入浴料だけに頼らない営業法を考えている」と話す。

 また「外国人観光客にとって、銭湯は『ジャパニーズ・クール』。今はニセコが外国人スキーヤーで賑っているが、やがて富良野や旭川へと移ってくる。その時、サウナの設備の整った菊の湯は、大きな魅力となるはず」とも。

 熊谷さんは「若い人たちのプロジェクトは、ぜひ成功してもらいたい。でも四十年以上、風呂屋をやってきた者の立場からすると、そう簡単ではない。大がかりにやろうとするなら、営業だけでなくスタッフの配置も必要だ。経営に携わることはできないが、助言を求められれば協力する」とアドバイスする。

 クラウドファンディングの目標額は、一千万円。二十六日朝現在、集まった額は六百八十一万八千七百円。募集終了は四月一日(月)。

 桐原さんは「目標額に達しない時は、プロジェクトが支持されていないと考え、中止する。ぜひ地元旭川の人たちの応援をお願いします」と訴えている。

 菊の湯のクラウドファンディングついての情報は、「2023年3月に閉業した『菊の湯』復活!!~旭川銭湯を日常へ~」を検索。(佐久間和久)