てんかんに関する理解を深めるための講演会が二月十八日、市民活動センター・ココデ(宮前一ノ三)で開かれた。日本てんかん協会北海道支部の主催。

 同協会の梅本里美会長が「てんかんの無理解による風当たりの強さが、まだまだある。この講演で得たものを、周りの人にも伝えてもらえたら」と冒頭にあいさつ。

 マロニエ通(みち)クリニック(札幌市)の院長・越智さと子さんが「てんかんと共存症」と題して講演した。越智さんは、一九五六年、札幌市生まれ。札幌医科大学医学部卒業後、約三十五年間、脳神経外科医として一般診療や子どもの脳神経外科治療に従事。二〇一三年から、札幌医大脳神経外科・脳機能センターで、主にてんかん治療を行う。二一年に定年を迎え、同クリニックを開業した。

 てんかんは、大脳の激しい電気的乱れが生じ、体の一部が固くなる、意識を失う、言葉が出にくくなるなどの発作が繰り返し起こる慢性的な脳の病気。百人に一人が発症するといわれている。

 越智さんは、てんかんの人に起こりやすい症状として、片頭痛や子どもの発達障がい、成人の認知障がい、情動・気分障がい、外傷、突然死(SUDEP)などについて解説。交通事故で頭を打った影響で、てんかんの発作が出ていた生後六カ月の乳児の例を動画で紹介しながら「発達に遅れがあるように見えていたけれど、それはてんかんの発作によるもので、治療によって正常な発達をしていることがわかりました。もし『案外元気だね』と、そのままにしていたら、体にマヒが残り、介護を受けながら、生活を送らなければならなかったかもしれません」と語った。

 最後に越智さんは、「てんかんは誰でもなり得る病気で、正確な診断と治療によって人生が変わります。病気があっても、病人にならない、病人にしない理解・支援・連携が大事です」と締めくくった。(東寛樹)