ASAHIKAWA DESIGN WEEK(あさひかわデザインウィーク・ADW)2024が六月十五日から二十三日までの九日間にわたって開催された。今年のテーマは「Life with.」。その概略を三回に分けてレポートする。その二回目。
六月十九日には、国際家具デザインコンペティション旭川(IFDA)2024の表彰式が開かれ、各賞が発表された。同開催委員会(桑原義彦会長)の主催。
IFDAは一九九〇年から三年に一度開かれており、今回で十二回目。
同コンペには、世界三十八の国・地域から六百五十五点の応募があり、表彰式の前日、予備審査で選ばれた十五作品を対象に、五人の審査員が最終審査を実施。その結果、シュ・ユコウさん(35・中国)の「ハグ チェア」が最高賞のゴールドリーフ賞に輝いた。
同作品は、なめらかな曲線で描かれたフォルムや木目の表情が美しく、座面に座ると上に突き出た部分を抱きしめられるユニークなデザインになっている。審査員からは「たくさんの応募作品の中にあっても目に飛び込んでくる印象的な作品」「見た瞬間、誰もが自分自身とのつながりを感じられるものだと思った」「手触りがよく、どのような人が座ってもフィットする」「単なるオブジェではなくアートとしての深いスキルが表現されている」「『こう座るべき』と限定せず、自由を生み出してくれていて、もう一人の誰かと常に一緒にいるような感覚になる」などと評価された。
受賞者のあいさつでシュ・ユコウさんは「自分が持てるすべてのエネルギーと情熱を、この椅子のデザインに注ぎました。たくさんの人に気に入ってもらえたら嬉しい。もし、この椅子を展示していただける場合には『手を触れないで下さい』という注意書きはつけないで下さい。これは手で触れてもらうためのものですから」と語った。
審査委員長の建築家・藤本壮介さんは「今回の審査では、デザイナーのリアルなプレゼンテーションを聞いたり、作品に実際に触れたりするなどコミュニケーションをとりながら審査できたことがプロセス全体の素晴らしさにつながった。世界規模でデジタルが広がる世の中において、リアルなモノや対面でのコミュニケーションの大切さを実感できたことは素晴らしい体験だった」と審査を振り返った。
そのほかの賞は、シルバーリーフ賞に北原悠唯さん(23・大阪府)の「ユー アームチェア」、ブロンズリーフ賞に可児美帆さん(24・京都府)の「ドロワー アンド シェルフ」と、コンラッド・ロヘナーさん(39・ドイツ)の「ドラギ」、今回新設されたメープルリーフ賞に山内敏行さん(56・神奈川県)の「イスノキ チェアーズ ツリー」が選ばれた。
また、旭川デザインセンター(永山二ノ十)では九月二十九日(日)までの期間、今年の入賞入選作品十五点が展示されている。(東寛樹)