旭川の年表や写真、地図などの資料をデジタルデータ化し、いつでもどこでも閲覧できる、市史デジタルアーカイブ「旭川のあゆみ」が、三月二十五日から旭川役所のホームページで公開されている。

 市はこれまで三度、市史の編纂・刊行を行っている。しかし、最新の『新旭川市史』(全八巻)は二〇一二年に編纂作業を中止。その後も再開されていない。そのため一九四五(昭和二十)年以降の戦後史の記述はないことから、市議会でも「編纂作業を再開すべき」と何度か質疑されるなど、編纂事業の再開が望まれていた。市は「後世に引き継ぐ市史の編纂は、意義がある」としながらも、再開時期の明言を避けてきた。

 それから十二年。今津寛介市長が「デジタル化による市史編纂の再開」の見解を示し、二四年度予算にデジタル化に要する費用を計上。
 同年六月、学識経験者らで構成する「旭川市史デジタルアーカイブ検討会(委員十人)」を設置。編集方針などについて話し合いを進める一方、並行してデジタルアーカイブを構築する委託業者をプロポーザル方式で選定し、編集作業が進められていた。

 公開されたデジタルアーカイブ「旭川のあゆみ」は、①年表でふりかえる旭川、②地図で比べる旭川、③書籍で調べる旭川、④空から見渡す旭川―四つのコンテンツからなる。

 ①『新旭川市史』の年表をもとに一九四五年まで。全体年表のほか道内・国内外年表との比較、「政治・行政」「産業・経済」「社会・文化」分野ごとの年表。

 ②グーグルマップと約百年前(大正十五年・一九二六年)の地図の重ね合わせで比較でき、ポイント地点で当時の写真を見ることができる。
 ③既刊の市史関連書籍をデジタル化(六種類三十九冊)し、画像からキーワード検索が可能になった。国会図書館が開発したシステムで自治体による公開は初。

 ④市内三カ所からドローンで撮影。ポイント地点で当時の写真や地図を見ることができる。

 資料アーカイブには写真・四百五十八点や地図・五十九点を網羅。

 写真は、すべての資料のほか、カテゴリ別(街並み、川・橋、建物、公園)、テーマ別(屯田兵・入植・開拓、第七師団、旭橋、平和通、学校、交通、災害・防災、農業、牛朱別川切り替え)からも見ることができる。

 デジタル化で、これまでの印刷物では虫メガネなどでなければ見られなかった地図上の小さな文字や、写真の背景なども拡大して見ることができるようになった。

 デジタルアーカイブを所管する、総務部総務課の担当者は「誰でも、できるだけ見やすく、生活者の目線で見ることができるようにと考え構成しました。旭川の歴史が、現在まで地続きになっていることを感じていただければ」と話す。

 今後、今年度から二七年度までの三年間で、既存の刊行物から四六(昭和二十一)年から現在までの年表と、写真・地図などの資料をデジタル化していく計画。人員に制限があるが、資料の収集と整理も進めたいとしている。

 デジタルアーカイブは右のQRコードか、市のホームページ(http://adeac>jp?asahikawa-city/)、トップページのバナーに掲載の「注目情報」「トピックス」から。(佐久間和久)