日本政策金融公庫によるビジネスプラン作成の出張授業が五月八日、旭川実業高校で行われた。

 同校の「総合的な探究の時間」の授業の一環として実施。同校進学指導部の今野佑飛教諭が、大学受験の総合型選抜を視野に、生徒たちが目指したいキャリアに進めるよう自分で考え行動する主体性や、論理的思考・批判的思考のスキルを身に付け、社会で価値を出せるような人になってもらいたい、との思いで企画した。

 同庫は、将来を担う若者の創業マインド向上を目的に、二〇一三年度から、全国の高校生と高専生(一~三年生)を対象にしたビジネスプランコンテスト「高校生ビジネスプラン・グランプリ」を開催。初めてビジネスプランを作る人でも安心して取り組めるよう、同庫の職員が学校に出向き、地域の関係機関と連携しながらプラン作成をサポートする「出張授業」を全国で実施している。

 この日は、同庫北海道創業支援センター上席所長代理の鹿取大祐さんが講師を務め、同校の二年生約百六十人が参加した。

 前半はブレインストーミング(複数人で自由にアイデアを出し合い、新たな発想を生み出すための手法)を体験。生徒たちは「学校生活をもっと楽しくするアイデア」をテーマに、個人でアイデアを考えた後、二~四人のグループに分かれて意見を出し合った。

 さらに、グループ内で出たアイデアを、「楽しさ」を縦軸、「費用」を横軸のグラフ上に振り分け、優先度を決めていった。

 後半はビジネスアイデアについて学んだ。

 鹿取さんがビジネスとアイデア、それぞれの本質を話した後、ワークを交えながら「人が求めるものは年齢・環境・ニーズによって変化します」と解説。

 続けて、ビジネスアイデアを考える方法として「自分や家族、地域など世の中の不便・不満を考え、どのようなモノ・サービスがあれば、その困っている人がハッピーになれるかという視点が大事」、大きく成長するビジネスの条件を「①誰もが日常的にやっていること、②そこで多くの人が不便・面倒を感じていること、③その不便さを解消する新しい解決法が提供できること」と語った。

 最後に「やりたいこと、できること、求められていること、これらを満たすビジネスのタネを探しましょう」と、生徒たちにアドバイスした。

 同じグループでワークを行った、同校普通科難関選抜コース二年の三浦桜空さん(16)、山田紗矢さん(16)、長田清美さん(16)は「ブレインストーミングの時に、アイデアがなかなか出てこなくて難しかった」「ほかの人と考え方が違い、まとめていくのが難しかったけど、いろいろな視点が知れて楽しかった」「環境によって人が求めるものが変わることが学べた」「自分も輝ける場所に行って価値のある人になりたいと思った」と、口々に感想を話した。

 生徒たちは今後、「高校生ビジネスプラン・グランプリ」応募に向けて、具体的なプラン作りに取り組み、九月に中間発表会、十二月に最終発表会を行う予定だ。(東寛樹)