神戸市長田区に、あらゆる世代の、多様な人たちがともに暮らす場所がある。そのシェアハウス「多世代型介護付きシェアハウス はっぴーの家ろっけん」を運営するのは、三十代の若者たちだ。代表の首藤義敬さんは、自らを「カオスクリエイター」と呼ぶ。
映画「30(さんまる)」は、シェアハウスの日常を追ったドキュメンタリー。懐かしくも未来的なつながりの形をそこに見た監督の鈴木七沖さんは、三年間密着し、カメラを向けた。劇場公開はあえてせず、各地で上映会を行い、観た人がタスキをつないでいく「コミュニティームービー」という形式を取った。上映会は、二〇二三年の熊本を皮切りに、これまで全国で九十回以上開催されている。
「ぜひ旭川市でもこの映画を」と名乗りを上げたのが、市内在住の野島ますみさん(64)だ。苫小牧市で作品を観て感銘を受け、一年以上前から準備を進めてきた。今週末の二十九日(日)、サン・アザレア(六ノ四)ホールを会場に上映会を開催する。
野島さん自身、羽幌の実家に住む母親が認知症になったことで、地域住民のつながりについて真剣に考えさせられた。「小さな羽幌町だから助けてもらうことができたけれど、果たして旭川でも可能なのか」。そんな疑問が、開催への思いを後押しした。
「ただ観るだけで終わらず、観た人それぞれが何かを感じ取って、隣人とのつながりのこれからを考えてほしい。そうして考える人が増えていけば、世の中も変わっていくんじゃないでしょうか」と、野島さんは今回の上映会にかける思いを語る。
開始は午後一時から(開場三十分前)。上映時間は約九十分で、上映後に鈴木監督のトークと感想シェア会がそれぞれ一時間ずつ行われる。
前売りチケットは一般二千五百円(当日三千円)、高校生以下無料。クローバーギンザベース(一の十四)と、こども冨貴堂(七条買物公園)で扱っている。
問い合わせは、30(さんまる)を観る会(メールblue.monkey131@gmail.com)か、野島さん(TEL 080―4049―8890)まで。(岡本成史)