プロレタリア詩人の今野大力の没後九十周年を記念し、六月十九日、大力の詩碑がある常磐公園内に約三十人が集り、碑前祭が行われた。同運営委員会の主催。
日本が戦争に突き進む時代、大力は平和な社会を夢見て詩を書き、雑誌の編集に打ち込んでいたが、治安維持法による弾圧で逮捕投獄され、特高警察の拷問により、人事不詳のまま釈放されたが、三十一歳の若さで逝去した。
運営委員会の能登谷繁代表は「日本は戦争する国への衣替えを着々と進めている。しかし、かつてのように戦争国家に戻ることがあってはならない。今こそ憲法を生かして、戦争のない平和な社会を築くために力を合わせるべき」と、没後九十年の碑前祭を開催する意義を訴えた。
小熊秀雄賞市民実行委員会の氏家正実運営委員長は、同時代を生きた大力と小熊が治安維持法下、暗黒の時代に抗いながら書き続けた作品などを掲載した『いま、小熊秀雄・今野大力』(同市民実行委員会発行、千二百円・税込み)を紹介。「混沌とした社会状状況にある現在、ぜひ皆さんに読んでいただきたい一冊です」と強調した。
大力の詩「一疋の昆虫」が、運営委員会会員の加藤雅敏さんにより朗読された。(佐久間和久)