格差・貧困問題に取り組む滝川市出身の作家・雨宮処凛さんの講演会「なんでこうなった? ~女たちの生きづらさについて」が十五日、ときわ市民ホール(五ノ四)で開かれた。ウィメンズネット旭川の主催。
「若者の死因の一位が自殺である背景には構造的な問題があるのでは」と思っていた雨宮さんは、二〇〇六年、「プレカリアート」(不安定なプロレタリアート)という言葉と出合い、精力的な取材を開始。翌年出版した『生きさせろ! 難民化する若者たち』が注目された。その後も一貫して貧困問題に取り組み、多くの著書を世に出している。
講演会の中ではまず、貧乏と貧困の違いについて説明。「貧困とはお金以外の『溜め』(企業の福利厚生や頼れる人間関係など)がない状態」という活動家・湯浅誠さんの定義を引用し、「昔はみんな貧乏だったのだから」と問題を軽視する考え方が、現代の貧困にはそぐわないことを指摘した。
さらに、一九九五年に経団連が「新時代の日本的経営」を打ち出して以降、雇用の非正規化が進み、中でも女性の非正規比率が高いこと、コロナ禍では貧困の若年化が進み、女性の割合も増えていることをデータで示した。二一年からは、女性のみを対象にした相談会も開催されるようになったという。
外国籍の女性や子どもたちの声も紹介。難民申請が認められず、「仮放免」(入管施設への収容を一時的に解かれている状態)となっている外国籍の人たちは、就労を禁止され、福祉も受けられず、経済的に困窮しやすい。「今ここにいる」ことが違法となるような、制度のそもそもの矛盾についても指摘した。
日本では、お金に関わる福祉はたくさんあるにも関わらず、行政は積極的に教えないので、「メニューを見せてくれないレストラン」と呼ばれており、また学校、親などを通じて「人に迷惑をかけるな教」が蔓延しているという。雨宮さんは「『助けて』と言うために必要なのは、社会、他人への最低限の信頼、『自分は生きていていい』という思いだが、貧困はこの二つを容易に奪う。世の中が意地悪なのは、彼らに不安しかないから。安心できる知識さえあれば、世の中はもっと優しくなるはず」と話し、近著『死なないノウハウ』の内容をかいつまんで紹介した。
講演後には質疑応答も行われた。高校生の参加者の「高校生にも何かできることはありませんか?」という質問に対し、雨宮さんは「外国籍の子どもたちに勉強や日本のことを教えている大学生がいて、その人は高校生の頃から活動していた。大人食堂の手伝いもできるので、そういう場に行ってみれば世界が広がるのでは」とアドバイスした。
悪天候の中、講演会には約九十人が来場し、雨宮さんの話に熱心に耳を傾けた。(岡本成史)





