三浦綾子記念文学館(神楽七ノ八)で十日、第二十七回三浦綾子作文賞の表彰式が行われた。
同賞は、三浦綾子記念文化財団が全国の小中高生を対象に、一九九九年度に開設。三浦綾子文学が多くの人に親しまれることを願うとともに、児童生徒たちが文章を通じて社会や人間を見つめ、たくましく生きていく力を養うことを目的として広く作品を募集している。今年度は八十四編の応募があった。
自由作文部門(A)と課題図書部門(B)の二部門があり、A部門は評論、随筆、感想文、物語のジャンルから選んだ自由作文で、B部門は指定された三浦作品を題材にした作文。最優秀賞と優秀賞のほか、上富良野町長賞、和寒町長賞、旭川市長賞が選ばれる。
同館の田中綾館長はあいさつの中で、「今年は自由作文部門への応募が多く、嬉しく感じた。時間をかけて文章を書いている人がいる中、昨今の生成AIには複雑な気持ちになる。だからこそ一人ひとりの肉声は貴重なもの」と話し、作品への短い感想を添えながら、受賞者一人ひとりに表彰状を手渡した。
A部門の最優秀賞は、道教大附属旭川中二年・株本眞有(まある)さんの感想文「『夏の庭―The Friends―』を読んで」。死をテーマにした作品の内容を自分の体験に引き寄せ、生きることの価値を学んだことや、自分の生き方を考えるきっかけとなったことなどを綴った。
表彰式に出席できなかった株本さんは、「読書感想文を書くうちに、家族や友人など身近な人とのつながりが毎日を作り、その中にこそ今しか感じることのできない大切な瞬間があると実感した」と、文書でコメントを寄せた。
B部門の最優秀賞は、立命館慶祥高三年・河上公充子さんの「当たり前を見つめ直して」(課題図書『道ありき』)。自身の闘病生活の中で芽生えた当たり前の生活に感謝する気持ちや、同じように闘病生活を送った三浦綾子の言葉への共感を綴った。
河上さんは受賞コメントの中で、「急ぎ過ぎる私に、三浦さんは自身の体験を通じて、今を生きることが何を意味するのかを教えてくれた。決して平和ではないこの世界で、笑って過ごせることに感謝の思いを忘れてはならないと思う」と述べ、続いて、自らの作品を朗読した。
その他、優秀賞に道教大附属旭川小一年・市川晴啓(はるのり)さんの「『番ねずみのヤカちゃん』を読んで」、優秀賞に旭実高二年・村井実樹子さんの「私が黒を着るワケは」、上富良野町長賞に一ツ葉高代々木キャンパス(東京都)二年・小西咲希さんの「吐き出して、呑み込んで」、和寒町長賞に東洋英和女学院中学部(東京都)三年・梶原沙良さんの「愛のバトン」、旭川市長賞に道教大附属旭川中二年・野呂佳夢(かのん)さんの「普通、多様性について」がそれぞれ選ばれた。(岡本成史)





