「ふだんぎ旭川」を長年主宰していた岡田勝美さんが、妻の慶子さんが書き残した短歌などを掲載した「『思慕』『細毫志気』」=写真=を発行した。自身が新聞に連載したコラムも同載している。

 岡田さんはこれまで河合家(慶子さんの実家)と岡田家のそれぞれの歴史などを書いた記録集を四巻出版しており、今回は五巻目になる。

 跋(ばつ・あとがき)に岡田さんは次のように書いている。長いが、そのまま引用する。

 「慶子さん、あなたの歌集がやっとまとめ本にできました。私も98歳なので、命あるうちに完成させようとあなたの残した歌誌に載ったもの、その為に何首分もチラシに書いた習作歌の全てを載せようと原稿用紙に書き写したのですが、一昨年・昨年五回の入院、一回五十日、四十日とベッドにはりつけになり、退院している間に写書に精を出していたのですが、そのため何時(いつ)の間にか 年次が混乱して習作メモが何年のものか不明になってしまい、大凡(よそ)の見当をつけて区別しまとめたため、あちこち同じ歌がダブって入っています。雑な編集、今更修正する余力、私にありません。98歳、誰に見せるためでもない。あなたのため、私のためのものですから、許して下さいね。……」。

 この本には、ざっと数えて一九五〇(昭和二十五)年から八一(同五十六)年まで、恵子さんが詠んだ短歌約二千三百首が掲載されている。

 その後に、岡田さんが朝日新聞のコラム欄「防風林」と「海風陸風」に八六(同六十一)年から九〇(平成二)年まで連載した七十二編が続く。

 岡田さんは「跋」をこう結んでいる。

 「慶子さん、私はあなたを『心底(そこ)から愛しています』『恋い慕っています』などの平俗な言葉で表現できません。適する言葉見つからず、肯て言えば『尊敬しています』と言うべきか。『遊魂還ることなく』私もやがて只骨の物質になります。あなたを思い浮かべるよすがもなく。ただ本の出来た現在のこの時を二人の最高の喜びとしましょう。でも全て無にして会えず。嗚呼(ああ)哀しいかな」。

 B四判、二百十五㌻。非売品。(佐久間和久)

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