岩波書店の雑誌『世界』八月号に、上野千鶴子が寄稿している。記事の冒頭が衝撃的だった。先の国会で、大した論議もなく成立した、「皇室典範の一部を改正する法律」について、オブラートにくるまない、つまり、“身もふたもない”言い方をしている。紹介しよう。記事に付されたタイトルは「わたしが女性天皇を歓迎しないこれだけの理由」。私なりの視点で要点を絞って引用する。まずは、“身もふたもない”冒頭の部分を。

 ――天皇制について発言を求められるたびに、わたしは断ってきた。論じれば論じるほど、賛否共に国民の関心が集まることを怖れたからだ。それより、関心が徐々に薄れていって、皇統が絶えると共にフェイドアウトしていってくれたらよいが、と感じていた。(引用終わり)

 蛇足と知りつつ、上野のプロフィールを少々。一九四八年、富山県生まれ。京都大学大学院で博士。京都精華大学教授などを経て一九九三年、東京大学文学部助教授、一九九五年から二〇一一年まで東京大学大学院教授。NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)理事長。専門は、女性学、ジェンダー研究。この分野のパイオニアであり、指導的な理論家のひとり。近年は高齢者の介護問題に関わっている。家族社会学、女性学研究者の立場から、フェミニズムについて積極的に発言し、一般層の社会学への関心を誘った。著書に『家父長制と資本制』(一九九〇年)、『おひとりさまの老後』(二〇〇六年)など多数。二〇二四年、米タイム誌「世界で最も影響力のある100人」に選出されている。東京大学名誉教授。

 上野は、皇室典範改正論議ついての国会の情勢を次のように解説してみせる。

 ――(前略)保守系の政党はあくまで男系男子に固執するが、維新、国民民主はいずれも可(男系男子に固執するか、それとも女性天皇を容認するかの二択=筆者注)のグレー路線、中道は意見のとりまとめすらできず、あとから女性天皇容認を唱えた。中道は「法の下の平等」を唱えるが、そもそも天皇制そのものが「法の下の平等」に反している。かつて天皇制の廃止を唱えた共産党でさえ、いまや女性天皇容認を求めている。いつから天皇制支持にまわったのだろうか。

(工藤 稔)

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