二〇一五年度の予算案に、「高等教育機関設置検討調査費」として六百万円を計上していただいたことに敬意を表しながら、いささか疑問と不満と意見を申し述べさせていただきます。
市長は、旭川と道北地域の「ものづくり」や建築、デザイン、芸術など幅広い分野で大きな役割を果たして来た東海大学旭川キャンパスの閉鎖という事態を受けて、二〇一三年度に五十万円、今二〇一四年度に百万円の予算を措置し、調査を行ったり、検討会議を設置したりして来ました。
十一人の委員からなる検討会議は、これまでに四回の会議を行い、今週十九日の最後の会議で市長に答申する報告書をまとめる予定だと聞いています。
その報告書の「案」を読ませていただきました。十一人という人数の多さから、議論をするというよりも個々の委員がそれぞれ意見を述べるという形で進められた経過の羅列、という印象です。会議の在り方にケチをつける気は毛頭ありません。そもそも、この会議は何を検討するのか、あいまいな形でスタートしているのですから。会議の設置要綱の第一条には「旭川市の高等教育の将来像について、専門的な視点から検討を進めるため旭川市の高等教育を考える会議(以下「会議」という)を設置する」とあります。そして、第三条にはこの会議の役割として、「高等教育の在り方」「大学の新設について」「その他高等教育に関すること」の三点を議論し、市長に報告すると規定されています。
つまり、当初は「大学の新設」について、その是非を含めて話し合ってくれ、という趣旨だったのですね。第一回の会議は九月一日に開かれ、その後十月、十一月、一月と四回の会議が行われました。その間、十一月に市長選挙があったわけです。選挙戦の中で、それまで「公立大学の設置」について、前向きな発言と慎重な発言を交互に繰り返していた市長は、一気に積極的な姿勢に転じ、ついには「選挙公約」に掲げるまでになりました。対立候補が、明確に「公立大学の開設」を打ち出したという背景もあったのでしょうが、旭川に公立「ものづくり大学」の設置を目指す市民の会に名を連ねる一人として、市長の決断に喝采を叫んだものです。
そして今月十日、新年度予算案が発表されました。市長は会見の場で、高等教育機関設置検討調査費として計上した六百万円についての記者からの質問に、「市としてある程度の方針や方向性を持った上で、より専門的なアドバイスをもらいたい」と答えましたね。正直言って、私、ガクッと来ました。肩すかしを食らった気分でした。またまた、専門家による調査ですか…。
(工藤 稔)
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