暖かいような、寒いような、明け方はストーブがほしくなるほどの気温。なんだか、おかしな初夏だ。お陰で、畑の野菜の苗は、成長がゆっくりのように感じる。地球規模の天候異変の現れが、わが猫の額ほどの菜園にも及んでいるものか、と思わぬでもない。NHKBSのワールドニュースを観ていると、ヨーロッパでもアメリカでも、インドでも、世界各地で死ぬほどの猛暑や豪雨による洪水が相次いでいる。自分の目の黒いうちは、さほどの異変は起こらないだろうと高をくくっていたが、もしかすると人類滅亡の現場に居合わせることにならないとも限らないゾと、今更ながら、SDGs(エスディージーズ)についての本を読み返したりして。遅いな。枕はここまで。

 最近、周りの複数の読者から、「タコ公園のタコ、なくなるんだって?」「タコ公園、変なタコに替わるらしいよ」という話を聞かされる。「タコ公園」とは、常磐公園内の道立美術館横にある、常磐公園遊園地の愛称である。存在感のある赤いタコの滑り台が愛称の由来だ。

 二〇一七年八月一日号のあさひかわ新聞に、このタコの滑り台についての記事が載った。医薬品卸のモロオ(本社・札幌)が一九六七年に創立五十年を記念して、会社発祥の地である旭川市に百万円を寄付し、その寄付金で常磐公園にコンクリート製のタコの滑り台を設置。創業百年を迎えた二〇一七年、設置から五十年を経てペンキがはげ落ちてしまったタコの滑り台をモロオの社員が塗りなおす作業に汗を流した、という記事である。

 個人的な話で恐縮だが、自宅から近いこともあって、タコ公園は孫たちの格好の遊び場だった。今も、次男の娘が近くの保育所に通っているので、その娘もタコにお世話になっているはずである。私自身、病後のリハビリを兼ねた散歩で、よく訪れてタコを眺めながらベンチで休憩したりする。このタコは、造形的にもかなりの“すぐれモノ”だと思う。子どもたちが滑って遊ぶのはもちろん、かくれんぼうをしたり鬼ごっこをしたり、想像力を刺激する構造になっているのだ。遊びを限定しない、自由度がある、と言うのかな、そんな気がする。子どもも大人も、いつの間にか好きになれる形のタコなのだろう。だから、撤去される、と聞くと、「どうして?」「ちょっと待ってよ」という話になる。

 市の土木部公園みどり課によれば、二〇一九年六月の定期点検で、コンクリート診断士が、コンクリートが剥がれ落ちる危険があると指摘して、一時、使用を禁止した。現在は、「補修しながら、だましだまし使っている状態」だという。

 実際にタコ公園に行って滑り台をつぶさに見てきたが、タコの頭部分のコンクリートにひびが入って補修した痕跡があったが、タコ全体はさほど老朽化しているようには見えない。

 近隣の小学校や幼稚園、保育園を対象にアンケート調査を行って決めた、と説明する新タコは、「タコプレイワールド」と名づけられているそうな。高さ九・二メートルのタコの頭があるメインタワーに、ウェイブスライダーと呼ばれる長短二基の滑り台とポリエチレン製の筒の中を滑り降りるチューブスライダーが設置されるようだ。市内の二業者でつくるJV(共同企業体)が落札し、落札価格は約七千五百万円だという。

 市のホームページに掲載されている新タコのイメージ画像を見ると、読者の一人が「変なタコ」と表現した意味がわかる。造形的に“よろしくない”、“気持ち悪い”、“美しくない”、“心地よくない”のだ。子どもたちが遊ぶ場の遊具として、情操教育の面で、どうなのか…。

(工藤 稔)

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