二月二十五日付の各紙は、東京電力が福島第一原発二号機の原子炉建屋につながる搬入口の屋上のたまり水から、高濃度の放射性物質を検出したと発表した、と報じた。東電は、昨年四月以降、たまり水が雨どいなどを伝って排水路に流れ、一部が港湾外に流れ出ていることを知りながら、数値を公表せず、対策も講じていなかった。以下、原発再稼働に賛成の論陣を張る読売新聞の記事を引用する。

 ――(前略)東電によると、昨年から排水路の濃度が高い原因の調査を続け、今月19日に2号機建屋出入り口の屋根にたまった雨水から、ベーター線を出す放射性物質を1㍑当たり5万2000ベクレル計測した。3月末までに放射性物質の吸着材を排水路に敷くなどの対策を講じる。

 今月22日には、今回とは別の排水路で、普段の70倍以上となる高濃度の放射性物質が検出されている。

 東電は汚染水を減らすために原子炉建屋の周囲の井戸から放射性物質で汚染された地下水をくみ上げ、浄化して海に放出することを計画している。しかし、現時点で漁業関係者の理解を得られていない。(引用終わり)

 二十五日夜、ニュース専門チャンネルのTBSニュースバードで、菅義偉・官房長官が定例記者会見で、記者の質問に応えて次のように話す場面を見た。

 「福島第一原発の港湾外の海水の濃度はですね、これも従来から公表していますけれども、継続して法令告示濃度に比べてですね、十分に低い数値であります。従って港湾外への汚染水の影響は完全にブロックされている。状況はコントロールされている。そういう認識に変わりはない、そういうことです」

 「完全にブロックされている」「状況はコントロールされている」というセリフは、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの招致を決めたIOC総会で、安倍晋三首相が行ったプレゼンテーションの一節にある。現状をどのように捻じ曲げて、どれくらい太い神経を備えていたら、このようなカラスもサギも真っ青になっちゃうような見え透いたウソがつけるのか。この宰相にして、この側近あり、である。感心していちゃダメなわけで。

(工藤 稔)

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