日当たりの悪い我が小菜園の雪も、ようやく消えた。去年の晩秋に播いたニンニクの種が、雪が解けた三日目に鮮やかな緑の芽を出した。そろそろ畑に堆肥を入れて耕さなければいけないなと思いながら、今年は、何だか気持ちが前向きになれない。史上最大を更新中の体重のせいなのか、それとも単に歳を取って気力が減退しただけなのか。

 秋には、満六十五歳。年金満額受給の権利を得る。あと何年、畑が出来るだろう、何歳まで車の運転が許されるだろう、などと柄にもなく老い先に思いを巡らせたりして、春だというのに何やら気が重い。それもこれも過剰な体重のせいなのか、それとも…、やめよう、読者の皆様にまで「無気力」が感染してはいけない。よし、明日は朝から、ニンニク畑の隣の長ネギ畑を耕そう。肥満老人に陰鬱は似合わない。あくまでも明るいデブでありたい。枕はここまで。

 旭川市は二〇一六年度予算に、「高等教育機関設置検討調査費」として九十万五千円を計上した。この名目は、六百万円を措置し、そのうち五百二十万円が「不執行」となった前年度と同じである。不執行、つまり議会の可決を得て予算を確保したのに使わなかった。

 簡単におさらいすると、旭川を含む道北地方のものづくりを支えて来た東海大学旭川キャンパスの閉鎖を受けて、市民グループが公立「ものづくり大学」の開設を求める運動を始めた。そうした動きを受けて、旭川市は二〇一三年度に初めて、「旭川の高等教育機関」についての調査費として五十万円を予算化。その翌年には百万円の予算で「旭川市の高等教育を考える会議」を設置し、十一人の委員が五回の会議を開いた。

 そして前年度、新たに開学する大学の規模や学部などの具体像について、民間コンサルタント会社に調査を委託するとして計上した予算が不執行になった。その理由は、旭川市は新たな公立大学をつくるのではなく、学校法人旭川大学(山内亮史理事長・学長、永山三ノ二十三)の公立化を検討すると決めたから、新大学の調査検討は不要になった、ということ。今年度予算に計上された九十万円は、旭川大学の公立化の可能性について検討するために使う、というわけ。公立化する旭川大学(名称はまだ未定)に、「ものづくり系」学部を新設する計画だという。

 言いたくないけど、二〇一五年度の一年間は何だったの? 安くない給料の市職員を二人も三人も動かして、予算を取って、議会に諮ってさ。その前の一年間、「考える会議」の議論の中で、旭川大学の法人化という話も出ていて、山内理事長・学長も参考人として招いて話を聞いたじゃないか。結局は二年間、無駄な時間を浪費してしまった、そういうことじゃないの?

(工藤 稔)

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