そろそろ田植えの準備作業が始まる時期だ。二〇〇九年、比布町との境界にある突哨山の麓で、仲の良い先輩二人とコメ農家の黒川博義さん(一六四一―二〇二二)の指導を受けて、極力機械に頼らない米作りを体験したことを思い出す。この時期は雪が解けた田んぼにトラクターで牛糞堆肥を運んで撒く仕事に汗を流したっけ。できるだけ田植え機もコンバインもない時代の米作りを体験させようと、丁寧に準備をしてくれた黒川さんの姿を思い出しながら、この原稿を書いている。

 で、旭川市の農家はいったい何戸あるのかを知りたいと考えて、市農政部農政課を訪ねた。このまちの農政を担当する市役所の部署だもの、当然、農家の戸数も、そのうちコメを作っている農家なり、農業法人なりの具体的な数も、しっかり押さえているだろう、そう考えていた。

 事前に、インターネットで「旭川 農家 戸数」で検索すると、令和二年(二〇二〇年)の数字が最新のデータとして載っている。五年ごとに国(農林水産省)が実施している統計調査「農林業センサス」の数字だ。ちょうど今年、二五年に行った調査のデータが間もなく発表されるようだ。

 農政部農政課の職員が対応してくれた。農家の戸数を知りたいと尋ねると、令和七年度版「あさひかわの農業」なる冊子を取り出した。そこには、二〇一〇年、二〇一五年、二〇二〇年の数字が記されてある。二五年のデータは、「国が発表するまでわからない」とのこと。農林業センサスの調査は、総務部の統計担当が手がけていて、農政部はノータッチだそうな。

 らちがあかないので、総務部の統計担当を訪ねた。実際に調査を行う部署だから、“生の数字”を教えてもらえるかも、と淡い期待を抱いていたのだが、「今月末に国が発表するまでは、表に出せません」。結局、二〇年のデータが直近、私たちが知り得る最新の農家戸数、ということになる。

 このまちの農政を司る市役所の農政部が、農家の総数を知らないで仕事になるのかね。まさしく「お役所仕事」。おそらく農家に足を運んだことがない、田んぼや畑に入ったこともない人たちが、農政をやってる。血の通った農業政策など夢のまた夢だわなぁ。

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(工藤 稔)

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