日曜日の朝、国会議員たちが登場するテレビ番組を眺めている私の横で、新聞を広げていた家人が「これって、それほど大騒ぎして、大臣を辞めなきゃならない大事件なのかしら…」と呟く。彼女が手にしている新聞には、「前原外相、辞任を示唆 首相は慰留、在日外国人献金」の大見出しが踊っている。

 報道によると、この献金をしていたのは、前原外相の地元、京都市で焼肉店を営む在日韓国人。母子家庭だった前原の少年時代を知っている女性だった。〇五年~〇八年と一〇年の五年間で二十五万円を前原氏の政治団体に献金している。朝日新聞の取材に対して、女性は「在日が献金しちゃあかんなんて、知らんかった。あかんことやってわかってたら、せえへんかったのに」「(前原氏の父が亡くなり)当時から貧乏で苦労していた。議員になってからも慕ってくれていたし、ずっと息子のように思っていた」「前原君とは人間同士の付き合いで、在日とか日本人とか、いちいち彼も確認せん。そんな失礼なこと聞かんやろ。『在日をいつまで差別するねん』って話になる」と話したという。

 恥ずかしながら、私は、政治資金規正法が、外国人からの政治献金を禁じていることをこの騒ぎで初めて知った。法律の主旨は、「日本の政治家の活動が外国人の意思に左右されるのを防止するため」だそうな。逆に言えば、日本人は政治家の活動を左右するために献金しても良いのだ、という意味になる。大企業や労働団体が、こぞって政治家に献金したり、パーティー券を購入したりするのは、やっぱり「そういうことなのね」である。

 それにしても、焼肉屋さんの女主人が、年に五万円を献金して、前原外相の政治活動を左右しようとしたなんてどうしても思えませんけど。普段、政治にさほどの関心を払わない家人は言う。「国会議員って、もっと本質的な議論をしなければいけないんじゃないの? なんだか、ばかばかしくなっちゃうわよ」と。枕は、ここまで。

(工藤 稔)

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