堤防強化と川との一体感創出を目的に「常磐公園の石狩川沿いの木を伐る」という旭川市と北海道旭川開発建設部の計画について書いた前週の本欄に、 読者から様々な反応が寄せられた。そのうちの一人、元市職員S氏から届いた「昨日の編集長の直言について異議があります」で始まる手紙を紹介しながら、反 論というか、説明というか、なぜ私がこの伐採を強く問題視するかを書こうと思う。

 手紙には「まず、この問題を考えるには二つに分けて考える必要があると思います。一つは堤防の強化が必要か否かという問題です。これは、現段階で は私としては判断しかねます。もう一つは、常磐公園と石狩川との間にある自生する樹齢百年を超える巨木を含む樹木の伐採。私の意見はこちらの部分について です」とある。

 確かに、本紙九月二十七日付一面の記事や前週の本欄からは、開発局が求める「堤防強化」と、旭川市が進める「常磐公園の樹木の整理を含む改修計 画」とは別物と読み取れるのかも知れないが、実は、二つの事業は一体でなければならない理由があるようなのだ。関係者の話をつなぎ合わせれば、堤防の改修 工事は、緊急性がある場合は別にして、何か別の要素、例えば「まちづくり」だとか、「川と公園の連続性」だとか、そうした付随する事業が付加されていなけ れば予算が付かない、そんな事情がある。国の財政事情、東日本大震災の復旧・復興財源確保という状況を鑑みれば、それはそうでしょう。旭川という三十五万 都市のど真ん中を流れる一級河川・石狩川の堤防が、ちょっと大雨が降ったら破堤してしまう状況にあるなんて考えられないわけだから、「十分な備えは出来て はいるが、もう少し強化した方がより安全です」程度の趣旨説明では、予算措置がされないのは当然だ。

 だから、開発局のお役人は頭を使う。目的は、予算を確保すること。つまり開発局という役人組織を維持すること。堤防の強化も公園と河川空間の一体 感創出も、その目的達成のための後付けの理由なのだ。旭川市にしてみれば、買物公園から七条緑道を経て常磐公園に到る一帯を文化・芸術ゾーンとして整備す る構想に、国の機関である開発局を巻き込める。資金的にも、手続き上も、心強い助っ人が現れたのだ。上級官庁だから多少の干渉はあろうし、気遣いもせねば ならないだろうが、そこは背に腹は替えられぬ、ということだろう。口に出しては言わないけれど、「全て伐採ですか…」の思いを抱いている市の担当職員もい ることは想像に難くない。

(工藤 稔)

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